数年前まで、
自分の体の一部のように
常に身につけていたネックレスがある
ティファニーのリターントゥ
という名前の
シルバーのごついタグのついた
ネックレス
まだわたしが20そこそこのときに
元恋人が買ってくれた
彼は高校生のときにそれを買って
わたしと出会った頃
これは死ぬまで外さないつもりだ
と言っていて
わたしはすごく羨ましかった
今まで何かを一生大切にしたいと
思ったことがなかったから。
それが彼とお揃いなら
どんなに良いだろう
そうしたら
彼が同じリターントゥの
別な形のネックレスを買ってくれた
死ぬまで外しちゃだめだよ
と笑って。
たとえば、この先
別の誰かと人生を歩むとして
その誰かに抱かれているときも
そのネックレスがついていると思ったら
ゾクゾクする
とも言った。
20歳そこそこのガキたちの
たわいもない約束
だけど、
わたしはずっとその約束に縛られて
何年も何年も生きてきた
もう彼はいないのに
彼はわたしとは別の人生を歩んでいるのに
わたしは彼のようには思えないのに
それでも外すことは出来なかったネックレス
彼とわたしを繋ぐ唯一の絆
だけど
今、わたしの胸には
別なネックレスが光っている
自分で働いて買った
ダイヤの一粒ネックレス
この先誰かと人生を共にするとしても
まずは自分の足でしっかりと立とうと思った
そしたら今見えている景色は
違うものに見えるんじゃないかって。
リターントゥは
もう見つけられないように
山奥に捨てた
あれから1度も探しに行ったことはない
彼は今もネックレスをつけている
と
共通の友達から聞いた
まいちゃんも
今もつけてくれてるのかなあ
と言っていた
とも