本日の読書感想文
 

有賀リエ連作集 工場夜景

有賀リエ

 

 


 

あらすじ 

 

工場地帯の近くに住む幼なじみの高校生、碧と貴臣。二人はお互い惹かれ合いつつも、ただ何となく日々を過ごしていた。

 

「高校最後の夏休み、二人きりで工場夜景を見に行こう――」そう約束をして、始まるかに思えた恋は、ある事件をきっかけに抗えない運命に掻き消される。

 

二人の行き着く先は――。


 

思ったこと 

 

好きな男の子と出かける約束をし、その当日、出かける間際にやってきた警察官たち。驚愕の表情の人物たち――。

 

ここまでを広告バナーで見ていて、何が起きたんだ?と気になっていました。

 

父親のした事は赦せません。被害者を二度傷つける行為で、自分しか気持ちよくないじゃないですか。家族は生涯に渡って苦しめられてしまった。何もかも台無しになってしまった。

 

読んでいて辛かったです。だけど2時間ドラマを観ているかのように引き込まれて読みました。

 

貴臣くんと碧ちゃんは、この先どうなるんでしょうね。おそらく彼の母親は碧ちゃんを赦さないし受け容れないですよね。妹さんももしかしたら嫌悪感を抱いているかもしれない。

 

何年経ったからゆるしてやって、みたいなセリフは作中には出ていませんが、もういいだろう、はないんですよね……。だから、二人が寄り添って生きる道はないんだろうな、と想像しました。

 

どうしたら二人が、世間一般に言う「幸せ」に――例えば、碧ちゃんが目にした、年老いても寄り添っているご夫婦のような姿には、貴臣くんとは叶わないんでしょう……? 悲しい。泣いちゃう。書いてるだけで泣いちゃう。あのクソ親父のせい。

 

だけど二人とも英語が堪能だから、海外移住してそっちで夫婦になれば、と思ったりもしました。それなら或いは、と。けれど、きっとそれじゃあダメなんだ……。

 

結局、二人は再会できて、ラストページのように笑い合えている、これが二人が紡げる「幸せ」なんだろうな、というところに落ち着きました。

 

好き合っていれば結婚して一緒に生きていきたいと思うものだけど、彼らはそれは叶わない。

 

許されない。

 

だったら、「ふたりで幸せ」でいられる道を探るしかなくて、それは結婚しなくても叶うんじゃ無いかなと。

 

そういう道は見つかると思う。

 

だって二人の縁は、結ばれてるから。


 

この作品の意味 

 

作品の意味ってたいそうなこと書きましたけど、これは、性的被害の加害者と被害者の「家族」が救われる物語を描いたものじゃないんですよね。主人公の男女にとっての「幸せ」を描いた物語だと思っていて、だから、作中、彼らの家族については簡単にしか描かれていません。

 

他のレビューを読むと、その後どうなったかも知りたいだとか、その後が想像できない、物足りない、というのも目にしましたが、描かれていないんなら想像したらいいんです、脳内補完です!

 

貴臣の母親は精神が不安定になりながらも子供らを女手ひとつで育てあげているようだし、彼女の兄という頼れる人も居る。ふとした拍子にフラッシュバックに襲われては寝込んだりしたかもしれないけど……。

そして貴臣の妹は荒れただろうなあと思いますね。大人になるにつれて、母親がどんな被害を受けたのか理解できただろうし、理解した時点でまた傷ついちゃうんでしょう……泣ける。

 

碧ちゃんの母親も外に働きに出られなくなったというのは作中のキャラが喋っていたけれど、職場結婚した母親は他に働いた経験もなく、ただ専業主婦をしてきたから事件後、離婚して苦労なさっただろうと思うワケよ。そしてわたしが一番気掛かりなのが、碧ちゃんの弟くんなのよ。

 

彼は事件当時、きっと小学生か中学生くらいだったんでしょう? そんな多感な時期に起きた事件。そのせいで、女子から「近づいたら襲われる」と言われたと泣きじゃくるシーン、あれは泣いたわー……残酷なことを言うよね……碧ちゃんも同じようなことを言われてたけど……。同じく傷付いている碧ちゃんや母親に、あれを宥められたのかがすごく心配。そして、荒れたんでしょう、荒れるよね。荒れないわけないよ。そこからどう立ち直って大学に通うまでになったのか。離婚して苗字が変わったことで表面上は普通に過ごせてるのかな。彼女とかどうなの、恋愛できてるわけ? 弟くん、チャラ男になってたりしない? 女の子を傷つけるかもって怖くて、女性不信になってたりしない? その女性不信を救う女神みたいな女性と知り合って救われてて欲しい。

 

この辺りは描かれていないので全て私の想像ですけど、そういうわけでこの物語は、碧ちゃんと貴臣くん以外の人の事はあまり描かれていません。だから、よくある?、復讐漫画のようにざまぁシーンもないし、強引に二人を結ぶ描写もありません。後先考えずに動いた男の所業のせいでこうなったわけだから、彼らが、一時の快楽のために、半ば自棄になって身体を重ねる――なんていうのも無いし、碧ちゃんが罵られるような、胸がつまされるようなシーンも無い。それだから余計に、世間の二人に対するセリフや態度が浮き彫りになっていてキツかったですね……。

 

ハッピーエンド……なのかな。メリバ、でもないし……バッドでもないし……。

だけど確実に、この二人は互いの存在で救われてるなってこと。

 

再会後の、工場での抱擁は泣いちゃう。ぜひご自身の目でご覧になって!!!

 

 

 

 

 2年前に書いた記事で「冷たい上司と嘘の恋」について書きましたが

 

 

 

 

 

それの続編がはじまって、そちらも完結しました!

 

 

こちらは、「冷たい上司と嘘の恋」に出てきた、皆川氏視点でのお話になります。

 

めっちゃくちゃ、奈都のこと好きじゃないですか、しかも初めから!!

 

皆川さんの鉄面皮たるや……!

 

萌えますよ←

 

原作も書籍化されないかなあ。

 

書籍化といえば、最近知り合いになった方が、コミカライズか書籍化かわからないけどコンテストに参加してないのに打診?があったようで、めちゃくちゃ羨ましい〜💕でも好きな作品だから、同じくらいかそれ以上に嬉しい!!!

 

紙で欲しいなあ。いつか揃えたい。