9週目の検診
さぁどれだけ大きくなっているだろうか
前回の検診から2週間、辛い悪阻の日々を耐えてきて
唯一報われる この瞬間
カーテンの向こう 足を開きながら 先生の声を待つ
ピコピコ・・
赤ちゃんの心臓の音が聞こえた
元気だ!私はほっと胸をなでおろした
だが、先生は
・・・。
・・・。
ずっと無言のままだった
今思うと、たった数十秒のことだったのかも知れない
でも私には、その時間がとてつもなく長く感じた
色んな角度から見ようとしているのか、先生の動作の音だけが聞こえる
「はい、じゃあ隣の部屋でお話しますね」
やっと、先生が口を開いた
私は何かを感じ取り、胸がドキドキしてきた
診察室に移動して、先生は言葉を選びながら、ゆっくり、教えてくれた
・無頭蓋症・・・私の赤ちゃんには頭蓋骨がないということ
・この病院では、1年に一回くらい、こういった赤ちゃんがみられるということ
・葉酸の不足などが原因の一つにあげられるということ
・お腹の中では生きられる、外国ではこのような赤ちゃんでも出産する人はいるということ
・外の世界に出てくるとおそらく生きられないので、日本では次に向けて、早期中絶をすすめているということ
エコー画像を見せられても、正常な赤ちゃんのエコーをみたことのない私には、頭が丸くないと言われても、わからなかったので、他の赤ちゃんの画像を見せてもらった
確かに、頭の丸みが欠けているように見えた
でも、信じられなかった
年間、1000人程度の赤ちゃんが産まれているこの病院で、一年に一度あるかないかと言う確率のことが、まさか自分に起きるなんて
何も言葉が出なかった私が、最後に聞いたのは
「待っていたら、あとから頭蓋骨が形成されてくることはないんですか?」
先生は、一呼吸おいて
「残念ながら・・・それはないんです・・・」
今思うと、私が納得できるように、とても丁寧に、長い時間をかけて説明してくださっていたと思う。
放心状態で病院を出てすぐ、自分の母親に電話をかけた
そこで初めて、こらえていたものが一気に溢れ出した
あんなに泣いたことは、人生で初めてだったと思う