平手said

平手「んぅ?」

目が覚めたとき、ねるが寝ているベットに突っ伏していた。

平手「やべ、寝ちゃった…」

ねるの様子を確認する。

長濱「すー…すー…すー…」

冷えピタを貼られて少し汗をかいているけど、呼吸は落ち着いていてホッとする。

時間を確認するためにスマホの電源をつけると理佐からLINEがきていた。


渡邉〔マネージャーさんに報告するために事務所に行ってきます〕

         〔また何かあれば連絡してください〕

         〔ねるが起きたら少しずつスポーツドリンク飲ませてね〕

分かった、とだけ返してまたねるを見る。

平手「…」

こんなに急に体調悪くなるなんて… 
元々体調良くなかったのかな…

どっちにしろ悪化させちゃったのは私のせいだし…

平手「ごめんね…」

長濱「んー…」

少しねるの頭を撫でると、身じろぎをした。

平手「ねる?」

長濱「…ん……てち…?」

平手「ごめん、起こしちゃったよね」

長濱「ううん…」

良かった…

熱で少し辛そうだけど、意識ははっきりしてる。

あ、そうだ。

スポドリ飲ませなきゃ。

冷蔵庫から取ってこようと立ち上がると、ねるに腕を掴まれた。

長濱「嫌…」

平手「ねる?」

長濱「嫌…行かんで…」

体調が悪いと寂しくなるのは分かる。

でも、汗かいてるしこのままにしておいたらまた脱水になってしまうかもしれない。

平手「お願い、すぐ戻ってくるから」

長濱「…うん」

そこまで言うと、ねるは手を離してくれた。

スポドリを持ってねるのところに戻る。

私が近づいてきたのを察したのか、閉じていた目を開けてこっちを見てくる。

平手「飲める?」

長濱「…うん」

よほど喉が渇いていたのか、ペットボトルの半分を一気に飲み干した。

平手「もういい?」

長濱「うん…」

平手「分かった」

ペットボトルを受け取って棚に置く。

もう一本ぐらい持ってきた方がいいかな…

長濱「…てち」

平手「ん?」

長濱「ごめんね…」

平手「…」

長濱「もう…何も言わんから…」

平手「ねる」

長濱「嫌いにならんで……」

平手「ねる!」

ねるが泣きそうになっているを見て、思わず抱き締める。
平手「こっちこそごめん、八つ当たりしちゃって…」

長濱「迷惑やったよね…」

平手「そんなことない!全然迷惑じゃないから!嫌いにならないから!…だからっ…そんなこと言わないでっ…」

長濱「…てっちゃんっ……」

ねるは私の心配をしてくれた。

それなのに私は八つ当たりをしてしまった。

最低だと思う。

おそらく、一生忘れない後悔だろう。

もう二度と、こんなことにならないように。

メンバーと、ねると、助け合っていきたい。



平手said

渡邉「ただいま」

お、理佐帰ってきた。

平手「おかえりー」

長濱「おかえり…」

渡邉「ねる、起きた?」

長濱「うん…」

あれからねるに寝るように言ったけど今まで寝ていたせいか寝れないみたい。

渡邉「ねる、汗すごいね…てち」

平手「ん?」

渡邉「ねるの部屋から着替え持ってきてくれる?」

平手「え、いいけど…ねる、勝手に入って大丈夫?」

長濱「いいよ…」

平手「分かった、行ってくるね」

ねるの部屋の鍵を受け取って理佐の部屋を出る。



平手「おじゃましまーす…」

誰も居ないと分かっているけど、一応礼儀として言っておこう。

帰って来て着替えるはずだったのか、ベットの上に置いてあったパジャマを発見した。

平手「これか、ん?」

パジャマを持ち上げると同時に聞こえたカサッという音。

平手「何これ…処方箋?」

折り畳まれていたパジャマの間にレジ袋が挟まっていた。

そこに入っていたのは薬が入っていると思われる紙袋二つと、薬の説明が書かれている紙。

咳を鎮め鼻水を抑える薬、熱を下げる薬…

これ、風邪の薬だよね?

平手「やっぱり体調悪かったんだ…」

薬とパジャマを持って理佐の部屋に戻る。

部屋に戻ると、理佐がねるにゼリーを食べさせているところだった。

平手「ねる…」

長濱「ん?…あ」

平手「ごめん…勝手に」

長濱「ハハ…バレちゃった…」

私がパジャマと一緒に持っているものを見て、苦笑いをした。

理佐にパジャマと処方箋を渡す。

渡邉「ねる、着替えれる?」

長濱「うん…」

渡邉「てち、コンビニ行ってくるからちょっとねるをお願い」

平手「分かった」



理佐が出ていって、ねるを着替えさせる。

長濱「っ…」

平手「大丈夫?」

長濱「大丈夫…」

やっぱりまだ目眩が残ってるみたいで、目をギュッって閉じたりこめかみを押さえたりしながらゆっくり着替えさせていく。

平手「やっぱり、体調悪かったんだね…」

着替え終わってねるを寝かせたら話題が途切れたから、思いきって話を切り出した。

長濱「うん…隠しててごめんね」

平手「私こそ、あんな酷いこと言ってごめん…」

長濱「今こうなっとるのは風邪が悪化したからやけん、気にせんで?」

平手「でも_」

長濱「私はてちを支えててちは私を支える、これでいいやん?持ちつ持たれつみたいな」

平手「うん…そうだね」

長濱「ふふっ…ふぁー…」 

平手「眠い?」

長濱「少し…」

平手「寝ていいよ」

長濱「じゃ、お言葉に甘えようかな…」

平手「うん、おやすみ」

長濱「おやすみなさい…」

"早く元気になってね"



渡邉said

渡邉「ただい…おや」

色々買い揃えて部屋に戻ると二人は仲良く頭を寄せて寝ていた。

てちはしっかりねるの手を握って。

平手「んん…」

渡邉「ふふっ…てちも風邪引いちゃうよ」

私はてちに大きめの毛布をかけた。









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いつも読んでくださってありがとうございます!
    《八つ当たり》完結です。
ありがとうございました。
    ところで皆さんに質問なのですが、欅の元祖CPと言えば何だと思いますか?
てちねるかもなりさですかね?
個人的に初期はその二つが大好きすぎたもので(笑)
コメントお待ちしています。
それでは、次回も是非読んでください!
これからもよろしくお願いします!