前回 、第3回電王戦について思うことを書いたのだが、そこでも触れていた電王戦タッグマッチトーナメントが、8/31(土)に六本木ニコファーレにて開催された。当日は朝から晩まで一気にニコ生でぶっとおし放送されていたのを見ていた方もおられると思う。
オイラはこれをメッチャ楽しみにしていたのだが、期待以上の成果、感動があった。
下馬評では、
「A級棋士、三浦弘行九段と第2回電王戦の覇者、GPS将棋のタッグが一番強いのではないか?」
「いやいや、あれは677台のクラスタだったから強かっただけだ。1台でも強いツツカナと船江恒平五段だよ!」
と、概ねこの2タッグに票が集まっていたが、優勝したのは、くじで一番対戦数の多いE枠を引き当てて、3回も戦って勝ち上がってきたponanzaと佐藤慎一四段のタッグだった。
この決勝の相手が三浦・GPSタッグで、終盤までリードされていて、誰もがもうひっくり返せないだろうと思っていたところで、佐藤慎一四段が奇跡の覚醒をして大逆転勝ちしたのだ。
これには会場、ニコ生の視聴者もビックリで、解説をしていた森内俊之名人も「これは今年の名局賞ですよ!」と、興奮気味に語っていたほどすごい対局であった。
こんなすごいものをリアルタイムで観られるなんて、思ってもみなかった。いい時代になったもんだ。
で、今回のこのイベントには、興行的な意味合いだけではなく、アドバンスド将棋の公開実験の場であることに大きな意味があった。
プロの棋士がコンピュータのアシストを得て指した場合、どれだけ棋力がアップするのか?という、みんなが頭の中で考えてはいたけど、実行するに至らなかった疑問が、初めて公の場で実験されるのだ。
前回のブログでも書いたが、この手法はチェスの世界では既に実績があり、棋力の向上が認められていた。なので、確実に上がるんだろうけど、どのぐらい上がるんだろうか?という点に注目して見られていたのだ。
結果は上に書いたとおり、こんな名局が持ち時間1時間の短い将棋で指されたのだ。想像以上の成果があったと言うべきだろう。
で、このタッグマッチトーナメントは全4局指されたわけだが、それを全部見て、指した棋士の感想を聞いて、わかったことがいくつかあった。それは、
1.棋力が高い人間が強いわけではない
2.棋風が違うタイプのソフトと組むのがよさそう
3.コンピュータとうまく融合できた者が強い
ということだ。
1.は、三浦九段とGPS将棋の戦いぶりからわかったことだ。
三浦九段は言うまでもなく現在のトップ棋士である。棋力は今回の出場棋士の中でもダントツだ。GPS将棋もクラスタ構成ではなかったとはいえ、実力はトップのソフトである。普通ならこのタッグが一番強そうだと考えるのも無理はない。
だが、実際に指している手の内容を見ると、三浦九段の手を採用すべきところでGPSの手を採用したり、GPSに任せるべきところで三浦九段の手を採用したりしたため、指し手がチグハグになってしまっていた。これが後々に響いてくることになった。
2.は、対局後の船江五段の感想からだ。
船江五段はツツカナとタッグを組んだのだが、棋風はお互いに似通ったところがあった。なので選ぶ手筋も必然的に似通ってしまい、アドバンスド将棋の相乗効果があまり得られなかったフシがあったのだ。
第3局では塚田泰明九段とPuellaαのタッグが出場したが、こちらも両者とも攻めの棋風であり、対局前に塚田九段は「どっちも攻めの棋風だから気が合うかもしれない」と語っていたが、結果はおもわしくなく、佐藤四段・ponanzaタッグに敗れてしまった。
やっぱり違う棋風のソフトと組むことで、自分にはない手筋を提示してもらえるほうが、指し手の幅が広がって効果があるのかもしれない。
3.は言うまでもなく、佐藤四段・ponanzaの人知を超えた驚異的な指し回しからだ。
三浦九段・GPSタッグは、1回戦こそ両者の実力が抜きん出ていたがために勝ち進むことができたが、決勝では、誰よりも多く戦ってきて、お互いのいいところ悪いところが理解できていた佐藤四段・ponanzaタッグの、それこそ神懸かり的な融合の力の前には及ばず、敢えなく敗れてしまった。
佐藤四段とタッグを組んだponanzaの開発者、山本一成氏はご本人もアマチュア五段ほどの棋力の持ち主であり、佐藤四段の差し回しをよく理解でき、また人柄も大変いいために、佐藤四段との呼吸はピッタリであった。そんな要素が全てハマり、確実に負けると思われた悲観的な局面から奇跡の覚醒を呼び、チグハグさが抜けない三浦九段・GPSタッグをグイグイと追い込んで、ついには投了させたのだ。
というわけで、アドバンスド将棋ならば、コンピュータとの融合をうまく果たせれば、アマチュアがプロ棋士を倒すことは十分に可能!(かもしれないw)という感想を持った次第です。^^
ドワンゴさん、アドバンスド将棋のアマとプロの対戦企画、やってくれませんかねぇ?^^
オイラはこれをメッチャ楽しみにしていたのだが、期待以上の成果、感動があった。
下馬評では、
「A級棋士、三浦弘行九段と第2回電王戦の覇者、GPS将棋のタッグが一番強いのではないか?」
「いやいや、あれは677台のクラスタだったから強かっただけだ。1台でも強いツツカナと船江恒平五段だよ!」
と、概ねこの2タッグに票が集まっていたが、優勝したのは、くじで一番対戦数の多いE枠を引き当てて、3回も戦って勝ち上がってきたponanzaと佐藤慎一四段のタッグだった。
この決勝の相手が三浦・GPSタッグで、終盤までリードされていて、誰もがもうひっくり返せないだろうと思っていたところで、佐藤慎一四段が奇跡の覚醒をして大逆転勝ちしたのだ。
これには会場、ニコ生の視聴者もビックリで、解説をしていた森内俊之名人も「これは今年の名局賞ですよ!」と、興奮気味に語っていたほどすごい対局であった。
こんなすごいものをリアルタイムで観られるなんて、思ってもみなかった。いい時代になったもんだ。
で、今回のこのイベントには、興行的な意味合いだけではなく、アドバンスド将棋の公開実験の場であることに大きな意味があった。
プロの棋士がコンピュータのアシストを得て指した場合、どれだけ棋力がアップするのか?という、みんなが頭の中で考えてはいたけど、実行するに至らなかった疑問が、初めて公の場で実験されるのだ。
前回のブログでも書いたが、この手法はチェスの世界では既に実績があり、棋力の向上が認められていた。なので、確実に上がるんだろうけど、どのぐらい上がるんだろうか?という点に注目して見られていたのだ。
結果は上に書いたとおり、こんな名局が持ち時間1時間の短い将棋で指されたのだ。想像以上の成果があったと言うべきだろう。
で、このタッグマッチトーナメントは全4局指されたわけだが、それを全部見て、指した棋士の感想を聞いて、わかったことがいくつかあった。それは、
1.棋力が高い人間が強いわけではない
2.棋風が違うタイプのソフトと組むのがよさそう
3.コンピュータとうまく融合できた者が強い
ということだ。
1.は、三浦九段とGPS将棋の戦いぶりからわかったことだ。
三浦九段は言うまでもなく現在のトップ棋士である。棋力は今回の出場棋士の中でもダントツだ。GPS将棋もクラスタ構成ではなかったとはいえ、実力はトップのソフトである。普通ならこのタッグが一番強そうだと考えるのも無理はない。
だが、実際に指している手の内容を見ると、三浦九段の手を採用すべきところでGPSの手を採用したり、GPSに任せるべきところで三浦九段の手を採用したりしたため、指し手がチグハグになってしまっていた。これが後々に響いてくることになった。
2.は、対局後の船江五段の感想からだ。
船江五段はツツカナとタッグを組んだのだが、棋風はお互いに似通ったところがあった。なので選ぶ手筋も必然的に似通ってしまい、アドバンスド将棋の相乗効果があまり得られなかったフシがあったのだ。
第3局では塚田泰明九段とPuellaαのタッグが出場したが、こちらも両者とも攻めの棋風であり、対局前に塚田九段は「どっちも攻めの棋風だから気が合うかもしれない」と語っていたが、結果はおもわしくなく、佐藤四段・ponanzaタッグに敗れてしまった。
やっぱり違う棋風のソフトと組むことで、自分にはない手筋を提示してもらえるほうが、指し手の幅が広がって効果があるのかもしれない。
3.は言うまでもなく、佐藤四段・ponanzaの人知を超えた驚異的な指し回しからだ。
三浦九段・GPSタッグは、1回戦こそ両者の実力が抜きん出ていたがために勝ち進むことができたが、決勝では、誰よりも多く戦ってきて、お互いのいいところ悪いところが理解できていた佐藤四段・ponanzaタッグの、それこそ神懸かり的な融合の力の前には及ばず、敢えなく敗れてしまった。
佐藤四段とタッグを組んだponanzaの開発者、山本一成氏はご本人もアマチュア五段ほどの棋力の持ち主であり、佐藤四段の差し回しをよく理解でき、また人柄も大変いいために、佐藤四段との呼吸はピッタリであった。そんな要素が全てハマり、確実に負けると思われた悲観的な局面から奇跡の覚醒を呼び、チグハグさが抜けない三浦九段・GPSタッグをグイグイと追い込んで、ついには投了させたのだ。
というわけで、アドバンスド将棋ならば、コンピュータとの融合をうまく果たせれば、アマチュアがプロ棋士を倒すことは十分に可能!(かもしれないw)という感想を持った次第です。^^
ドワンゴさん、アドバンスド将棋のアマとプロの対戦企画、やってくれませんかねぇ?^^