=震災後= | 松本ヴァイオリン工房のブログ

松本ヴァイオリン工房のブログ

東北の岩手-盛岡にある弦楽器専門の工房。バイオリン・ビオラ・チェロの販売、製作、修理、調整を承ります。コントラバスの修理も。秋田や青森、仙台の方もどうぞ!

3月11日の東日本大震災から2ヶ月余。

いまだ生活の基盤も整わない方々、今後のめども立たない方々

まだまだ大勢いらっしゃるというのが現実です。

物理的にも精神的これまで経験したことのないことばかり・・・。

言えるのは本当の長期戦になるのだということ。 

私のような仕事をするものにとって、「何ができるだろうか」という自分への問い

そしてその答え。

はたしてその「明解」を得ることは難しいでしょうが、

肩肘張らず私なりの答えを日々手探りし続けていきます。

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               (工房入り口の生垣、ドウダンツツジの新緑)

そんな中、私の工房に沿岸の方から持ち込まれて来る楽器たちから

少しずつ「音楽」再興への芽生えを感じます。

子供用のヴァイオリンを失ってしまった方のために・・・ということで

「以前に子供達が弾いていて今はもう使用していない分数ヴァイオリンを・・・。」

と持ち込まれる方がいます。

工房でのメンテナンスを経て、おけいこ再開を待ち望む子のもとへ渡っていきました。

家を流され、あきらめていたヴァイオリンをがれきの中から見つけ、

再生出来ますかと持ち込まれた方もいます。

そこには細やかな心遣いの文面が沿えてありました、



「津波の泥には様々の化学物質が含まれています、ホコリを吸い込まないよう・・・」

「破傷風菌が胞子の形で生存していることもあるらしいので・・・」 

十二分に注意を払って修復作業にあたらせて戴きます。

自分の愛用のチェロを流されてしまった方、

だれかのピアノが流されていくのが

遠くに見えたとも聞きました。


避難所暮らしから移ることが出来るようになり盛岡に物資の買出しに来たとのことで

工房にも立ち寄られました。

「知り合いで使わなくなってほうっておいたチェロがあるというので持ってきたんですけど

これ使えますか?」ということで、チェロを置いて行かれました。

「こんどいつ来れるかわからないけど次ぎ盛岡に来る時までに直っているとうれしいです。」

直ったらもう一度チェロをはじめるぞ、とやる気まんまんでした。

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              (タンポポがひょっこり顔を出していました。)