決定的なひと言。 | アスペル君の父として

決定的なひと言。

 先日発達支援センターで、あまりにも目に余る息子の態度を相談したとき、天使先生からは「対抗の時期は甘えさせてもいいのでは。また戻りますよ」とアドバイスをいただきました。


 ところが、本当にわが子は約束を守りません。朝起きろよと言っても起きないし、布団を上げろといっても上げない。

 うちの嫁さんは約束を守らないのが大嫌いなので(私もですが)、容赦なく怒ります。「甘えさせてもいいって言うけど、この子は付け上がってるのよ!」と。


 それはいい。約束を守らせるのは大事なことだし、破った彼のほうが悪い。最低限のルールを守るのは社会的スキルの上でも大切です。

 ただ、今日嫁さんが彼に言ったことに、心が痛んでしまいました。


「文句ある? 文句があるなら母ちゃんは出て行くよ」


 これはどうかなぁと思ったので、怒り顔の嫁さんに、つい言ってしまいました。この時点で私たちは既に「30分避難」の鉄則を忘れていたようです。

「最後のあの言葉はどうかなぁ。約束をきちんと守らせるというのと、あなたが出て行くというのは違うと思うけど」

「だって私、切羽詰ってるのよね!」

「まぁ俺も、感情に任せて『出てけ』って言うけどさ……」

 次の瞬間、嫁さんがこちらをキッと睨みました。


「だって、二人は親子じゃない!」


 なにか大事なものが落ちて壊れた。そんな音を聞いた気がしました。決定的な言葉が放たれてしまったような。


 嫁さんとは再婚です。つまり彼女と息子は血が繋がっていません。それでも息子は本当に良く懐いてくれたし、彼女も我が子以上に愛情を掛けて育ててくれました。


 あなたも、この子の親だよね?


 私は予想以上に、彼女に負担を掛けていたのかもしれません。再婚相手の息子の様子がおかしい。調べてみたら発達障害だった。これじゃあ新妻としてはたいへんだったと思います。


 ごめんね。どこかで息子と俺は、あなたに必要以上に甘えていたのかな。


 また三人の親子になろうよ。また仲良く笑い合おうよ。ね……。