⑯より続き…

 

順不同になりましたが…

 

1部 お芝居 身代わり道中

*配役*

赤穂の仁助(ジンスケ)*水希咲哉花形

吉良の三太郎(サンタロウ)*おおみ達磨座長

三太郎の母*おおみ悠総座長

大五郎親分*劇団春駒 二代目美波第助座長

子分*おおみ美梨さん

旅籠屋菊屋 お菊*おおみ愛里さん

小金井小次郎*劇団松丸家 咲田せいじろう副座長

 

*あらすじ*

1場:日限地蔵(ヒギリジゾウ)前

目の不自由な老婆が日限地蔵に願掛けしているところへ、「助けて下さい。」と娘が駆けて来る。

老婆が祠に娘を匿うと相撲上りの大五郎親分たちがやって来る。

娘の行方を聞こうと、老婆を痛めつけようとする大五郎親分たちに耐えかねて姿を現わす娘。

大五郎親分たちが娘をかどわかそうとしているところへ割って入る男がいた。

男は小金井小次郎と名乗ると、そそくさとその場を去って行く大五郎親分たち。

娘を帰らせた後、巡礼姿の老婆に、「何か訳があるのですか。」と尋ね、「向こうの茶店でお茶でも飲みながら、訳を聞きましょう。」と言い老婆を伴い茶店へ向かう小金井小次郎。

雨が降り出し、祠の軒先に雨宿りする二人の男。

小金井小次郎が助けた娘も、雨宿りにやって来る。

娘は旅籠屋菊屋のお菊と言い、仁助には愛想が良いが、三太郎には素っ気ない。

雨が上がり帰って行くお菊。

二人の男は先になり後になり、喧嘩しながらも旅をしていたが、「吉良の三太郎」と「赤穂の仁助」と名乗り合う。

またしても、三太郎と仁助が喧嘩を始めたところを止めに入る小金井小次郎。

「小金井小次郎」の名を聞きひれ伏す三太郎と仁助。

小金井小次郎は二人の名前を聞くと、「三太郎には話がある。ここに残れ。仁助さんは先を行け。」と言う。

「お菊ちゃんの所へ泊るなよ。」と言う三太郎に、「お前も泊まるなよ。」と言い返す仁助。

残った三太郎に、世間話と言い例え話を聞かせる小金井小次郎。

「お前ならどうする。」と聞かれ、「俺だったら、頭二・三発ぶん殴ってやる。」と答える三太郎。

その言葉に、小金井小次郎は三太郎を殴り掛かる。

その倅が自分の事だと知り肩を落とす三太郎に、「お袋さんは、この宿に泊まっている。宿を一軒ずつしらみつぶしに捜し、捜せない時は、明日の朝、一番鶏が鳴く前にこの日限地蔵に来るだ。立派な堅気姿でお袋さんの前に来るんだ。」と言う小金井小次郎。

 

2場:旅籠屋菊屋

「一晩、泊めてほしい。」と仁助がやって来る。

仁助が風呂に入っている時にやって来た三太郎。

「今日はいっぱいなんです。」と素っ気なく断るお菊に、「相部屋でも良い。」と頼む。

部屋で顔を合わせた二人はまたしても喧嘩を始める。

喧嘩も収まり寝静まりかけると、大五郎親分とお菊の話し声が…

「金は出来たか。」

「お金はまだ出来ていません。もう少し待ってください。」

「明日の朝、一番鶏が鳴く前に日限地蔵の前まで持って来い。」と言い帰って行く大五郎親分。

「お菊ちゃん、俺たちで助けてやろうじゃないか。」と言う三太郎に、「相撲上りの大五郎親分と言うのは評判の良くない親分。関わりたくない。」と断る仁助。

三太郎の説得に二人でお菊を助ける事になる。

 

3場:日限地蔵前

お菊が無理矢理かどわかされそうになるところへ、三太郎と仁助がやって来る。

大五郎親分たちと揉めているところへ、小金井小次郎が現れる。

堅気姿でと約束をしているにも関わらず刀を腰に差していた三太郎を咎める小金井小次郎に、助け船を出す仁助。

小金井小次郎が仲裁するも、聞く耳持たない大五郎親分と刀を交える三太郎だが、大五郎親分に斬られてしまう。

三太郎に止めを刺そうとする大五郎親分を斬る仁助。

虫の息の中、「仁助、お前に頼みがあるんだ。俺の代わりに、おっかぁに親孝行してくれねえか。」と頼む三太郎。

「直ぐに分かってしまう。」と断る仁助に、「幸か不幸か、おっかぁは目が見えない。」と言う三太郎。

そこへ、小金井小次郎に連れられ三太郎の母がやって来る。

三太郎は、「俺は赤穂の仁助だ。倅の三太郎さんは今はやくざじゃありゃしない。」と言うと、仁助の腰の刀を抜き取り仁助を倅の三太郎に仕立てる。

三太郎の無事を喜ぶ母に、「おっかさん、今日まで私の為に苦労を掛けましたね。」と労う仁助。

「おっかさんに親孝行、必ず私がします。安心してくださいね。」と三太郎に言う仁助に頷く三太郎。

「これから、この土地で暮らすも良し、三州は吉良へ帰るのも良し。」と言う仁助に、「お父つぁんの墓に参っておくれ。」と言う三太郎の母。

三太郎の身代わりになった仁助と三太郎の母が三州吉良に向かおうとした時、「お袋さん、良うござんしたね。倅さんに会えたのも、日頃から念ずる神仏お地蔵さんのお陰かも知れません。ここに、可哀想なお地蔵様がいます。手に持っている暖かな笠を手向けてやっちゃくれませんか。」と言う小金井小次郎。

手にしていた笠の埃を払い差しかけ、手を合わせる三太郎の母。

思い余って、「おっかさん!」と叫ぶ三太郎。

その声に、重なるように、「おっかさん!」と叫ぶ仁助。

「三太郎…」と呼ぶ三太郎の母に、「今のは私の声ですよ。」と言う仁助。

手を合わせ母の事を託す三太郎。

三太郎になり代わった仁助と三太郎の母は旅立って行く。

小金井小次郎がかざす笠の下で、三太郎は息絶える。

 

 

前半は仁助と三太郎の掛け合いに笑い、最後はやっぱりホロッとしますあせる

 

 

口上挨拶

おおみ達磨座長

 

 

⑱へ続く…