⑲より続き…
順不同になりましたが…
1部 お芝居 鉄と万太
*配役*
兄 鉄*劇団松丸家 松丸家小弁太座長
弟 万太*桜川翔座長
呉服問屋 伊勢屋
主人 宗兵衛*下町かぶき組 昴斗真花形
娘 お千代*劇団松丸家 松丸家ちょうちょさん
奉公人*大和樹さん・桜川れいかさん・桜川明音さん・美里さん
ならず者*近藤光さん・天昇屋心竜さん
*あらすじ*
1場:橋の袂
年に一度の祭りの日、ならず者たちにかどわかされそうになるお千代。
「娘を返して欲しければ金を出せ。」と言われ、五両を手渡した宗兵衛だが、そのままお千代をかどわかそうとするならず者たち。
その様子を見ていたと言い鉄が割って入り、お千代を助けたうえに五両を取り戻し宗兵衛に手渡す。
「お住まいと名前を…」と尋ねる宗兵衛に、「名乗る程の者でもないですが…神田明神下なめくじ長屋に住んでいる鉄と申します。」と答える鉄。
鉄は助けたお千代を見て、「綺麗なお嬢さんだ。」と思い、鉄に助けられたお千代は鉄に一目惚れする。
2場:鉄の家
体の不自由な弟の万太と暮らす鉄。
助けてもらった御礼にと宗兵衛とお千代が訪ねて来る。
鉄に言われお茶を持って来た万太が、宗兵衛の着物に掛けてしまう。
「今の方は。」と尋ねる宗兵衛に、「弟の万太と言い、心優しい奴なんですよ。」と答える鉄。
「鉄さんに会ってからと言うもの娘は恋の病に罹ってしまい…娘のお千代と一緒になり、婿養子に来て頂きたい。」と言う宗兵衛に、一旦は喜んで了承しようとする鉄だったが、「弟の奴はおいら無しでは生きて行けない。」とこの話を断る。
「鉄さんと一緒になれないならこの舌を噛みます。」と言うお千代。
「万太さんと一緒に来てもらえれば良いです。」と言う宗兵衛の言葉に、「それを聞けば安心だ。有難うございます。」と承知する鉄。
宗兵衛とお千代帰が帰って行った後、嬉しそうな顔をしている鉄に訳を聞く万太。
経緯を聞き、「あんちゃん、おめでとう。あんちゃんがお婿さんに行ったら、万ちゃん一人。」と肩を落とす万太に、「一緒に、伊勢屋に行って良い。」と話す鉄に安心し喜ぶ万太。
鉄が伊勢屋に挨拶に出掛け、万太が一人で留守番をしているところへ、奉公人たちを連れやって来たお千代。
「変な弟さんがうちに来ない様に苛めて欲しいの。」とお千代に言われ万太に乱暴する奉公人たち。
「鉄さんと一緒になるのは嬉しいの。あんたが来るのは嫌なの。伊勢屋の暖簾に傷が付く。」と言い万太に乱暴するお千代。
お千代たちが帰った後、「あんな弟がいたら、伊勢屋の暖簾に傷が付く。弟さんと縁を切って、あなた一人で伊勢屋に来て下さい。」と宗兵衛に言われた鉄が帰って来る。
「万太、こっちに座れ!」と言い、宗兵衛からの話をする鉄。
「何で、あんちゃんの邪魔ばかりするんだ。もうこれっきりだ。兄弟の縁は切る。とっとと出て行け!」と怒る鉄。
「出て行かねえ。」「出て行け!」「出て行かねえ。」と押し問答するが、鉄は、「お前が出て行かねえなら…」と出て行こうとする。
追いすがる万太に出刃包丁を向ける鉄。
「あんちゃんが万ちゃん殺して幸せになれるなら、万ちゃん殺せ。さっき、あんちゃんのお嫁さんになる人がやって来て、万ちゃんの事、ぶったり蹴ったり叩いたり。あんちゃんのお嫁さんになる人だと我慢したんだよ。万ちゃん殺すなら殺せ。」と言う万太に、鉄は、「あんちゃん、頭、冷やしてくる。」と言い部屋を出る。
縄を持ち出して来て首を吊ろうとする万太を、寸前のところで止める鉄。
「万ちゃん、死ぬ。」と言う万太に、鉄は、「万太、許してくれ。あんちゃん、お前を捨てない。どうか許してくれ。」と詫びる。
そこへ、宗兵衛とお千代がやって来る。
「そんな馬鹿捨てて、うちに来れば良いんだ!」と言う宗兵衛を刺してしまう鉄。
「あんちゃん、人を殺めたのか。」と言う万太に、鉄は、「やっちまった。やっちまった。」とうなだれる。
「あんちゃん、又、島に逆戻りか。万ちゃん、又、ひとりぼっちか。」と言うと、自首しようとする鉄に、「あんちゃん、まま食うか。」と飯の用意をする万太。
涙ながらに飯を食べる二人。
「あんちゃん、酒飲むか。」と酒の用意をする万太。
徳利を抱き、「万ちゃん、あんちゃんが帰って来るのを、一日千秋の思いで待ってるからね。」と言う万太に、鉄は、「万太、酒注げ!」と言う。
その酒を飲み干し、万太に酒を注ぎ、手を添え飲ませる鉄。
「あんちゃん!」「万太!」「あんちゃん!」「万太」、抱き合い涙する鉄と万太。
時代・場所等々に違いは有りますが、他劇団では、「博多の鉄の万作」「人間」。
このお芝居は下町かぶき組の劇団で数回観た事が有ります。
今回は、鉄が万太に酒を注ぎ、手を添え飲ませる場面が、心に残り印象的でした。
口上挨拶
桜川翔座長
㉑へ続く…