⑭より続き…

 

順不同になりましたが…

 

1部 お芝居 孝心五月雨傘

*配役*

松本家

主 剛蔵*水希咲哉花形
妻 お加津*おおみ悠総座長

母 おたね*大川まち子さん

 

剛蔵の弟 大工の留吉*おおみ達磨座長
留吉の弟子 三公*おおみ美梨さん

 

鳥羽崎道場

当主*責任者 近江剣太郎さん

娘 みゆき*おおみ愛里さん

 


*あらすじ*
幼くして父を亡くし、母の苦労の末、育った剛蔵と留吉の兄弟。
兄の剛蔵は松本家の加津を嫁にし侍となり、道場の師範代を務めるまでになる。
そして、弟の留吉は大工になる。

1場:松本家

留吉に頼まれた桜見物の為の着物とお金を、留吉の母おたねに持って来た三公。

三公は人の気配に現れたお加津に身を潜める。

おたねが手にしていた風呂敷包の中を見て、面当てと怒るお加津。

お加津は武家侍を鼻に掛け、「おたね!おたね!」と同居の姑に日々辛く当たる。
肩が張ったと言っては肩を揉ませ、挙句には、「肩が腫れ上がっております。」と言い、喉が渇いたと言ってはお茶を入れさせ、「煮えたぎったお茶でやけどをしました。」と言うと、「日にち毎日、こうしていじめられ、おたねを追い出して下さい。」といきり立つお加津。

そして、渋る剛蔵に、「私が実家に帰るか、おたねを追い出して下さいますか。」と迫る。

お加津の手前、おたねに、「この家から出て行って下さいませ。」と言う剛蔵。

「こんな事言うと何だけど、お前が結婚する時に、留吉がおっかさんを引き取ると言った時、世間体があるからとこの家に来たんじゃないか。お加津さんに取り成しておくれよ。」と頼むおたねの言葉に、「留吉の所へ行けば良いじゃありませんか。とっとと出て行って下さいよ。」と怒る剛蔵。

陰でその様子を見ていた三公が帰って行く。

三公から話を聞いた留吉がやって来て、「腐れ兄貴!」と剛蔵を呼び付け意見する。

喧嘩口論になる二人に、「お願いだから、兄弟喧嘩はしないでおくれ。」と涙するおたね。

2場:桜見物場
桜見物にやって来た留吉、おたね、三公の三人。

留吉は輩にからまれている娘を助ける。

娘は名前と住まいを尋ねる。

「大工の留吉、横丁の源兵衛長屋」と聞き、礼を言い帰って行く娘。

置き忘れて来た弁当を取りに行く三公。

「おっかさん、喉が渇いた。」と言うおたねにお茶を調達に行く留吉。

おたねが一人になったところへ、剛蔵とお加津が通り掛かる。

声を掛けるおたねに、「親子の縁は切ったはずだ。口で言っても分からぬ者には体に教えて上げます。」と手を上げる剛蔵。

戻って来た留吉が、「あれは売り言葉に買い言葉で…」と言うが、「わしは士農工商の上に立つ侍。着ている物も違う。頭の中の脳みそも違う。お前は赤味噌。わしは白味噌。」と言われたうえ額まで割られてしまう。

「あやつを花に例えるなら雑草だ。私は見事に咲く桜葉だ。」と言いお加津と共に帰って行く剛蔵。

戻って来てその様子を見ていた三公が仕返しに行こうとするのを止め、「桜は直ぐに散ってしまう。雑草は夜露で再び生える。」と諭す留吉。

留吉は腰を痛めたおたねを背負う。

「恥ずかしくないかい。」と尋ねるおたねに、「なあに、恥ずかしい事なんかあるもんか。おいらにとってはたった一人のおっかぁ。俺と一緒に帰ろうなぁ。」と言い帰って行く。

その様子を見ていた輩から助けてもらった娘のみゆきと父の道場主。

「親孝行、富士のお山にさも似たり。見上げられたり褒められたり。」と、帰って行く三人の後ろ姿に呟く道場主。

3場:鳥羽崎道場

「みゆきの婿が決まった。」と道場に呼ばれた剛蔵とお加津。

剛蔵とお加津は婿を見て驚く。
道場主の横に座っていたのは弟の留吉だった。
身分が逆転した留吉は母がされた事や自分がされた事を、剛蔵とお加津にやり返す。

怒った剛蔵が帰ると言うと、「改築の為の金子を返して帰るが良い。」と言う道場主。

「この場は私に任せて下さい。」と言った留吉は剛蔵に額の割返しに手を上げるが、振り下ろす事が出来ない。

幼くして父が病で亡くなり、貧しいながらも二人を育ててくれた母。

ひもじい思いの中、「俺たちはおっかぁを幸せにしてやろうな。」と言った剛蔵。

「あの頃の優しい兄貴に戻ってくれよ。」と手を付き頭を下げ頼む留吉。

「お願いだから兄弟仲良くしておくれ。」と諭すおたね。

「これから先、兄弟二人、親孝行するのか、このまま、畜生道を突き進むのか。」と迫る道場主。

剛蔵は留吉の手を取り立たせ、おたねの手を取り座布団に座らせ、お加津の手を取ると、二人揃って頭を下げ詫びる。

「先生、二人が分かってくれました。」と喜ぶ留吉。

「留吉、おっかぁ、苦労を掛けてすまなかっな。」と詫びる剛蔵に、「俺たちは苦労と思っちゃいないよ。」と胸をなで下ろす留吉。

「母上。」と手を付き詫びるお加津。

「孝心の五月雨傘さしかけて、親に孝行忘れまじ。」

 

 

前半はお加津の意地悪っぷりと、おたねを庇いつつも、お加津の尻の下に引かれている剛蔵の言動に笑いました。

おたね役の大川まち子さん。

老婆役の時は背中を丸めている事も有るかもしれませんが、本当に小っちゃなお婆ちゃん見えます。

でも、舞踊の時のまち子さんは大きく見え、存在感が有ります。

ラストは目出度し目出度し。

 

 

口上挨拶

おおみ達磨座長

 

⑯へ続く…