㉒より続き…
順不同になりましたが…
2部 お芝居 人生花舞台
*配役*
成田屋
太夫*桜川翔座長
弟子*桜川れいかさん
弟子*桜川明澄心さん
清水次郎長一家
次郎長親分*近藤光さん
子分*大和樹さん
子分 翔平*劇団松丸家 松丸家翔さん
壷振りお竜*満みゆりさん
老爺*あまつ秀二郎座長
*あらすじ*
1場:清水次郎長一家
博打がしたい子分の一人が次郎長親分が止める訳を尋ねる。
「女房のお蝶が無くなって間がない。喪に服す間、博打は我慢してくれ。」と答える次郎長親分。
次郎長親分に会わせてほしいと老爺が訪ねて来る。
押し問答している子分に、中に通す様に言う次郎長親分。
「親分さんと差しの勝負をしてほしい。義理人情に厚い親分と聞いてやって来ました。」と言う老爺に、「盆を閉じており、代わりに、ここに居る翔平が相手をします。」と言うと壷振りお竜を呼ぶ次郎長親分。
一生懸命貯めたと言う三十二文を賭ける老爺に、次郎長親分は三両を賭ける。
老爺は張り目を数回変え、半と賭けるが賽の目は丁と出る。
「もう一度、勝負させて下さい。あっしの体を賭けます。」と言う老爺に訳を尋ねる次郎長親分。
「今から二十年前、千両役者成田屋さんで修行していました。兄弟子の代役で人気が出ましたが、稽古もせず、贔屓衆に連れられ旨いもん食って飲んで…とうとう破門されました。師匠の娘に子供が出来たと言われ一緒に逃げ、玉の様な男の子が出来ました。ある一座で舞台が終わって戻ってみると、女房子供がいなくなっていました。それからは、酒を飲み舞台に上がり、一座を追い出され…何処に行っても同じ。そんな時、掛川の芝居小屋に行きました。成田屋の師匠と瓜二つの若い男の子が出ていたんです。成田屋さんの娘の子供、成田屋さんの孫と聞きました。今度、二代目襲名があると聞きました。幟のひとつでも何か祝い事のひとつでもしてえ。」と答える老爺に、「博打で稼いだ金よりも…」と言うと、「この清水で興行を打って貰おう。親父さんは、この清水港の網元になって貰いましょう。一緒に太夫の許へ行き興行の話をしてもらいましょう。」と言う次郎長親分。
そして、老爺の身なりに、自分の紋服を貸す。
2場:料亭
清水港での興行の千秋楽が無事に終わった宴席で、舞を披露する成田屋の太夫と弟子たち。
舞が終わると、次郎長親分の計らいで、網元に仕立てられた老爺と成田屋の太夫は二人切になる。
「成田屋の師匠に生き写しでしたよ。」と言い、「お袋さんは。」と尋ねる老爺に、「江戸で私の帰りを待っています。」と答える太夫。
「親父さんは。」と尋ねる老爺に、「立派な役者と聞いております。幼い時に病で亡くなったと聞いています。」と答える太夫。
「旅の仕度が整いました。」と言う弟子の言葉に、「一先ず失礼します。」と座敷を出る太夫。
太夫が座敷を出た後、太夫の座っていた座布団を抱き泣く老爺。
現れた次郎長が慰める。
太夫が戻って来る。
「これにて失礼します。」と言う太夫に、「清水港には太夫を思う日本一の網元が居ると言うのを忘れてはいけない。」と言う次郎長親分。
「網元様のお羽織を頂きたく思います。」と言う太夫に、借物の羽織と困惑する老爺だが、次郎長親分の計らいで、太夫にその羽織を掛けると、太夫の手を取り泣く老爺。
「網元も寄る年波だ。ひとさし舞っちゃ頂けませんか。」と頼む次郎長親分。
太夫が披露する口上に合せるように口上する老爺。
「今の声色は…今の声色は…」と驚く太夫。
「夢じゃ、夢じゃ、昔の夢じゃ。」と言う老爺に、後ろ髪引かれながらも座敷を出る太夫。
後を追おうとするが踏みとどまり、「親分!」と泣く老爺。
太夫が座敷を出た後、残った人たちに、太夫は私の倅と身振り手振りする老爺。
親子名乗りは出来ずとも、自慢の倅。
㉔へ続く…