⑱より続き…

 

順不同になりましたが…

 

2部 お芝居 沓掛時次郎

*配役*

沓掛時次郎*白富士龍太若座長

 

中川一家

六ツ田の三蔵*白富士聖人花形

女房 おきぬ*白富士一馬三代目座長

倅 太郎吉*白富士だいき君

 

旅籠屋

主人*先代座長 白富士龍子さん

女将*胡蝶つき子さん

 

こうざき助蔵一家

子分*白富士わかなさん

子分*白富士そうまさん

 

八丁徳の娘*白富士まりんさん

 

 

*あらすじ*

1場:三蔵の家の前

中川一家の縄張りを一人守っていた三蔵だが、こうざき一家といさかいになり、慌てた様子で帰って来る。

「直ぐに、この土地を離れる事になった。旅の支度を…」とおきぬ言う三蔵。

こうざき一家の子分たちと、一宿一飯の恩義から助っ人を頼まれた時次郎がやって来る。

こうざき一家の子分たちに「手出し無用」と言い付け、三蔵と刀を交えた時次郎は、三蔵を斬ってしまう。

家の中から出て来たおきぬと太郎吉が、三蔵に駆け寄る。

その三蔵に止めを刺そうとするこうざき一家の子分たちに手向かう時次郎。

「何で、女房子供が有る事を言っちゃくれなかったのか。」と言う時次郎に、「男と見込んで頼みが有ります。お前さんの草鞋を脱いだ一家は良くない。ここにいる女房子供の命まで狙って来るには違いない。この二人を安全な土地まで逃がしてほしい。」と頼む三蔵。

時次郎は、「必ず逃がしてみせます。」と引き受ける。

「おめえは男の子だろ。後に残ったおっかちゃんは、おめえが守って行かなくちゃならない。分かってるか。」と言う三蔵に、「うん。」と答える太郎吉。

「必ず安全な土地まで…」と、時次郎に最後の頼みをすると、三蔵は息を引き取る。

「追っ手が来る前に…」と言う時次郎の言葉に、「お前さん、堪忍しておくれ。」と言うと、太郎吉の手を引き逃げて行くおきぬ。

三蔵の亡骸に羽織を掛け、やって来た追っ手を始末すると、おきぬと太郎吉の後を追う時次郎。

 

2場:旅籠屋

病にむしばまれていたおきぬの面倒を見る人の良い旅籠屋の主人と女将。

大八一家と喧嘩が始まり、助っ人を捜しに、八丁徳の娘がやって来る。

「今宵の暮れ六つから、明日の朝の明け六つにかけて。」と言い、一両を押し付けて帰って行く八丁徳の娘。

「折り入ってお願いがあります。」と言いおきぬが起きて来る。

「三味線を売ってお金に代えて下さい。溜まりに溜まった宿賃に。」と頼むおきぬに、「宿賃なら、時次郎さんが払って…」と答える旅女将。

「それだけは出来ません。こんな事になったのは、みんなあの時次郎さんのせいなんだ。憎い憎い…」と咳き込み部屋に戻るおきぬ。

時次郎が帰って来る。

「おじさんに紹介してもらった米搗きの仕事が終わってしまって、新しい良い仕事、見つかりましたか。」と尋ねる時次郎に、八丁徳の助っ人の話をする女将。

「その一両が喉から手がで出るほど欲しんだ。一両有れば、おきぬさんには良い医者に診せ、太郎吉には美味しい物を食べさせる事が出来る。」と手を付き頼む時次郎に、一両を手渡そうとする主人。

「おじさんから、おきぬさんに渡してやって下さい。今一つ頼みが…もし、あっしが喧嘩から帰って来ないその時は、二人の事はお願いします。」と頼む時次郎に、「意地を張っているが、おきぬさんも頼りにしているんだ。必ず、生きて戻って来なきゃならない。」と言う主人。

刀を脇に差し喧嘩場に向かう時次郎。

「時次郎さん、まだ帰ってないようですけど…」と言いおきぬと太郎吉が現れる。

時次郎から預かった一両を手渡す女将。

「時次郎さんは、私や太郎吉の面倒を見るのが嫌で、私たちを見捨てて出て行ってしまった。あの人は薄情な人だ。」と嘆くおきぬに、女将は、「時次郎さんは、命を張って喧嘩…」と言い掛ける。

「本当の事を教えて下さい。」と涙ながらに頼むおきぬに、時次郎の思いを伝え、「そんな時次郎さんの気持ち、分かってやって。」と言う女将。

「分かっていたんです。意地ばかり張って、馬鹿な私を許しておくれ。」と一両を握りしめ泣き崩れるおきぬ。

「会いたい。会いたい。時次郎さんに会いたい。」と呟くと、「太郎吉、おっかちゃんに万が一の事があったら、時次郎のおじさんに、本当の子供の様に可愛がってもらうんだよ。私は死にたくない。時次郎さんに会って、お礼を言ってお詫びをして、たった一晩だけでも、夫婦の暮らしがしたかった。時さん!」と、血を吐き息絶えるおきぬ。

喧嘩は助っ人した八丁徳一家が勝ち、「今、戻ってきました。」と時次郎が帰って来る。

「遅かった。遅かった。おきぬさんが…」と言う主人。

「おじちゃん!」と抱き付く太郎吉。

「良い親分さんで、五両貰ったんだ。目を開けてくれよ。死なすわけにはいかないんだ。おきぬさん。」と肩を落とす時次郎に、おきぬの今際の際の言葉を話す主人。

「俺が殺したんだ。御亭主ばかりじゃない。お前さんまでこんな姿に。太郎坊だけは、命に掛けても引き受けた。どうか安らかに眠ってくれよ。おきぬさん!」と誓う時次郎。

 

3場:中仙道

おきぬの位牌を懐に、時次郎が現れる。

「おっとちゃん、おっとちゃん。蝶々が飛んでいるよ。早く捕ってくれ。」と太郎吉が現れる。

「何と言った。おと…」と尋ねる時次郎に、「おいら、おとっちゃんと呼んだんだよ。」と答える太郎吉。

「俺が太郎坊のちゃんか。」と言う時次郎に、「おとっちゃん!」と胸に飛び込む太郎吉。

おきぬの位牌を太郎吉の腰に結び付け、その太郎吉を背負う時次郎。

「太郎吉、行こうか。」

「うん。」

 

 

だいき君のお芝居は初見で、太郎吉役が見たくて…

おきぬが息を引き取り、帰って来た時次郎に、「おじちゃん!」と、絶妙なタイミングで抱き付く太郎吉。

台詞もよどみなく、丁寧にはっきり聞こえました。

舞踊もお芝居も頑張る6歳児。

 

「たった一晩だけでも、夫婦の暮らしがしたかった。」

意地を張っていたおきぬの本当の胸の内が凝縮された台詞に泣かされます。

 

 

口上挨拶

「若座長白富士龍太祭り」の主役、白富士龍太若座長のご挨拶

 

 

バトンタッチで…

 

白富士一馬三代目座長

 

 

⑳へ続く…