⑲より続き…
順不同になりましたが…
2部 お芝居 お美代桜
*配役*
裕次郎(ユウジロウ)*藤間智太郎座長
庄屋*松竹町子さん
庄屋の上娘 お美代(オミヨ)*三代目藤間歩さん
庄屋の下娘 お清(オキヨ)*松竹小梅さん
使用人 作蔵(サクゾウ)*光明亮太郎さん
使用人 竹蔵(タケゾウ)*藤誠さん
役人*初代藤間新太郎さん
子守り 花(ハナ)*藤間あおいさん
女衒(ゼゲン)*藤島一也さん
*あらすじ*
1幕:庄屋の家の前
宿下がりで帰って来た城仕えのお美代だったが、早々に城に戻る事になる。
妹のお清に会わせたい庄屋は、使用人たちに、手分けして捜してもらうが見つける事が出来なかった。
お美代が生れた時に、大きく美しくなってほしいと願い庄屋が植えた家の前の一本の桜の木。
「桜の様に立派になってくれた。」と喜ぶ庄屋。
お美代が城へ向かった後、「お美代に会わせてくれ。」と顔なじみの役人がやって来る。
「たった今、城に戻ったところ。今度会うのは後一年。この桜の咲く頃。」と答える庄屋。
そこへ、裕次郎がやって来る。
「江戸見物に連れて行った娘が、戻って来ないのはどう言う事か。」と問う役人に、のらりくらり答える裕次郎。
役人は、「もしかしたら、何処かに売って金にしているんじゃないだろうな。そのうち、お前もひどい目に遭うぞ。」と釘を刺し帰って行く。
庄屋と二人になった裕次郎は、「お美代を嫁にくれんか。」と頼むが、「お美代には決めた男があるのだ。うちで働いている作蔵だ。」と断る庄屋。
「駄目なら、妹のお清をわしにくれんか。」と頼む裕次郎に、「お清にも決めた男がある。ここで働く竹蔵だ。」と断る庄屋。
「お美代かお清、どちらかわしにくれんか。」と迫る裕次郎に、「お前の様な奴にはやれんのだ。」と断る庄屋。
押し問答になり、大声を上げようとする庄屋の口を塞ぐ裕次郎。
庄屋は、そのまま息を引き取る。
裕次郎は、「わしゃ知らん。わしゃ知らんぞ。わしゃ知らんからな。」と慌てふためき去って行く。
2幕:一年後の庄屋の家の前
庄屋が亡くなって一年。
気が触れるお美代。
ふらふらと帰って来たお美代だが、「お父様が呼んでいる。お美代来いと呼んでいる。お父様~」と言い再びふらふらと何処かへ行ってしまう。
裕次郎と女衒がやって来る。
裕次郎は、女衒に赤ちょうちんで待っているように言うと、お清を呼び出し、「江戸見物に連れて行く。」と誘う。
影に隠れて、裕次郎と女衒の様子を伺っていた作蔵が割って入り、お清を助けるが、「お庄屋様まで…」と言い掛けると、「何を言い掛けたのだ。」と乱暴する裕次郎。
竹蔵が割って入り、作蔵を助ける。
ほとぼりが冷めた頃に現れた裕次郎は、再びお清を呼び出し連れだそうとするが、お美代が現れてそれを止め、「裕次郎、遊んでおくれよ。」とせがみ裕次郎を掴む。
「離せよ。」と言いつつ、「気違いとは言いながら良い女だな。一年前の事を思い出す…」と話す裕次郎に、「こうしてこの手で、お父様を殺したんだね。」と言うお美代。
「お前は、気違いじゃなかったのか。」と驚く裕次郎に、「やったのはお前と分かっていたが、証拠が無いから。」と、気違いの振りをしていたお美代は敵討ちしようとする。
現れた女衒と裕次郎を刺し、敵討ちを遂げ、「父上、敵は立派に討ちました。迷わず成仏して下さい。」と手を合わせるお美代。
役人がやって来て、「裕次郎を殺害せし者は…」と問う。
「私がやりました。」と言うお美代に、「私がやりました。」と言う作蔵。
「人の話に聞くと、そなた気違いだな。」と言うと、徳川十箇条では気違いは不問故、お美代を見逃そうとする役人。
覚悟して仇討赦免状を持たず、敵を討ったお美代は、「悪い夢から覚め、元の優しいお清に戻って下さい。」とお清を諭すと、竹蔵に、「お清の事、宜しくお願い致します。」と頼む。
そして、「作蔵さん、今度、宿下がりで帰って来た時は、二人一緒になる事を、お父様は許してくれました。今度、帰ったその時は…」と言うと、作蔵と手を取り合うお美代。
「風も吹かないのに花が散る。お美代桜の花が散る。」と呟くお美代に、そっと羽織を掛ける役人。
ひとり、その場を去るお美代。
桜の時期にピッタリのお芝居でした。
三代目藤間歩さんのお美代の美しさもさる事ながら、松竹町子さんの庄屋役に見入ってしまいました。
口上挨拶
藤間智太郎座長
藤間あおいさん
藤誠さん
4月24日(水)、MBSの番組「ちちんぷいぷい」の「駅前シャッターチャンス」と言うコーナーで、芝居小屋遊楽館と藤間劇団の様子が放映される予定です。
藤誠さんだけがインタビューされたのを悔しがる智太郎座長でした。
㉒へ続く…