⑳より続き…

 

順不同になりましたが…

 

2部 お芝居 夫婦坂

*配役*

芸者 お仙(オセン)*桜川翔座長

お仙の亭主*暁龍磨さん

お仙の母*鹿島劇団 春日舞子さん

小間物屋 新ちゃん*夜空花形

置屋主人(お父はん)*鹿島劇団 二代目鹿島順一座長

芸者 お吉(オキチ)*桜川明音さん

芸者*桜川れいかさん・鹿島劇団 雷鉄命さん・花咲竜次さん・月夜ノほたるさん・満みゆりさん

刺客*近藤光さん・鹿島劇団 菊章吾さん

 

 

1幕:置屋

浪花踊のしん取の話に呼ばれてやって来たお吉と、その取り巻きの芸者たち。

「三年、お吉がしていたが、四年目の今年のしん取はお仙に決まった。」と話す置屋主人に、納得する筈もないお吉。

遅れてやって来たお仙に、「今年の浪花踊のしん取はあんたや。」と言う置屋主人。

「うちみたいな貧乏には出来まへん。」と断るお吉だったが、「決まった事。」と言うと、置屋主人は部屋を出る。

「酒代頂戴。」とお仙の母がやって来る。

「お金は無いんや。」と言うお仙に、「これだったら金になるわ。酒が飲める。」と言い、お仙が挿していた櫛を持って行ってしまう母。

お仙と母のやり取りを見ていたお吉が現れる。

「あんた、一体どうするんや。」と言うお吉に、お仙は、「断ります。」と答える。

「しっかり断るんやで。」と言い捨て、お吉は部屋を出て行く。

お吉に頼まれた浪花踊のしん取で使う別注の簪を持って、小間物屋がやって来る。

その小間物屋は、お仙の幼なじみの新ちゃんだった。

新ちゃんはお仙に、その簪を見せる。

「いくらするんや。」と尋ねるお仙に、「三百円するんや。」と答える新ちゃん。

新ちゃんが、その簪をお仙の掌に乗せた時に、お吉がやって来る。

自分が頼んだ簪を、選りにも選って、お仙が先に見て触れた事に怒るお吉。

土間に降り、手を付き詫びるお仙に、お吉は、「うちを怒らせたらどうなるか。」と言い、お仙の手に簪を突き刺し、新ちゃんには簪の手直を命じ部屋を出て行く。

「何でここまでされんのやあかんのや。うち、悔しいわ。」と言うお仙に、「お仙ちゃんの力になったるわ。」と言う新ちゃん。

 

2幕:お仙の家

酒浸りのお仙の母は、傷心な面持ちで帰って来たお仙に、「お酒頂戴。」とせがむ。

「あんたが今あるのは、みんなお母ちゃんお陰やで。」と言う母を、お仙は、「もう寝てや。」と向うの部屋へ連れて行く。

お吉たちがやって来る。

「お父はんからの言付けや。今晩八時に浪花踊の仕度して、見場に来て欲しいやて。」と言うお吉。

散々、お仙とお仙の亭主の悪口を言い帰って行くお吉たち。

お仙の亭主が帰って来る。

お仙の様子に、「どないしたんや。」と尋ねる亭主。

お仙は、それまでの経緯を話す。

「お前の夢、叶ったな。」と喜ぶ亭主だったが、「簪、三百円するんや。」と言われ驚く。

「亭主は魚屋で魚臭い。言う事は一人前、やる事は半人前。」と嫌味を言われた事を告げるお仙に、「使っとけ。」と三百円の入った封筒を差し出す亭主。

驚くお仙に、亭主は、「親方から、今日預かった皆の給金や。皆に訳話したら、分かってくれるはずや。」と言う。

別注の簪を持って新ちゃんがやって来る。

その簪を見せて貰った亭主が値段を尋ねると、「三百円しまっせ。」と答える新ちゃん。

亭主は、三百円の入った封筒を新ちゃんに渡そうとするが、「お吉姉さんの目の前で、ぽんと三百円出す方が、女の意地が立つ違うんちゃいまっか。」と言う新ちゃん。

新ちゃんが帰った後、「簪に三百円使ったら、着物が買えんわ。」と言うお仙の言葉に、お仙と亭主は、家財道具一切合切売る事にする。

奥の間で話を聞いていたお仙の母が現れる。

「死んだ亭主が初めて買ってくれた着物。何かの足しに使こうてくれるか。」と差し出す母。

その大事な着物を受け取り、家財道具一切合切を包んだ風呂敷包を背負い、「わいの帰りを待っとるんやで。」と出掛けて行く亭主。

 

3幕:置屋見場

置屋主人たちがお仙を待つ中、「ええ格好で来る筈がない。」と高を括っていたお吉だが、綺麗な着物姿だが、簪を挿していないお仙がやって来る。

そこへ、お吉に命じられ手直した簪を持って新ちゃんがやって来る。

「返品や。」と言うお吉。

「幾らします。」と尋ねるお仙に、「三百円します。」と答える新ちゃん。

「いつも、三百円持ち歩いてます。」と言い簪を買い取るお仙。

「買ったら、うちの物やな。」と言うと簪を踏み付け、「貧乏人、貧乏人と、よう馬鹿にしましたな。」とお吉に言い放つお仙。

「立派な浪花芸者のしん取や。」と言い部屋を出る置屋主人。

「うちを怒らせたらどうなるか、よう覚えておきや。」と怒り、置屋主人の後を追うお吉。

別注の簪を踏み付けた事を、新ちゃんに詫びるお仙。

「お仙ちゃんの事、よう知っとる。二束三文の簪、用意したんや。ほんなもんはこれやで。」と見せる新ちゃん。

 

4幕:街道

怒りが収まらないお吉は刺客を雇い、お仙と亭主の始末を頼む。

やって来たお仙の亭主を刺す刺客。

お仙がやって来て、亭主の様子に、「何であんたがこんな事に…」と駆け寄る。

「うちや。うちを怒らせたから。」と言い刃物を出すお吉。

お吉に刺されるも刺し返すお仙。

「うちの女の意地の為に堪忍やで。」と詫びるお仙に、「生れた時は別々でも、死ぬ時は一緒やで。そう誓ったやろ。ほんまにそうなってしまったな。」と虫の息で答える亭主。

「あんたと一緒になって幸せだった。」

「わいら、あの世に行っても幸せになろうな。」

「あんたぁ。」

「お仙!」

亭主はお仙を抱え、お仙は亭主に抱えられ、息を引き取る。

 

 

口上挨拶

桜川翔座長

 

 

2月から3回目の劇団雪月花の観劇。

3回共、桜川翔座長の女形のお芝居でした。

次回、観劇する事があれば、立のお芝居が観たい。

 

㉒へ続く…