①より続き…
順不同になりましたが…
2部 お芝居 新造船
*配役*
新吉*都若丸座長
新吉の弟 新太郎*都剛副座長
新吉の女房 おかる*城月ひかるさん
新吉の母*都ゆかりさん
浜の人
ためさん*都星矢花形
*都舞斗さん
*あきらさん
*都京香さん
*松永さん
*山田さん
新太郎のお供
*都英樹さん
*都紗助さん
*都雅輝さん
*都晴香さん
親方*キャプテン都城太郎さん
*あらすじ*
1幕1場*新吉の家
浜の人達が、新しい船が出来た祝いに、新吉の家を訪れる。
「暮れ六つに、新しい船が出来た祝いをする。」と言う新吉。
そこへ、ためさんたちもやって来る。
「新しい船の周りを、ウロウロしていたおこもがいて、様子を伺っていたら、弟の新太郎さんだった。」と言うためさん。
口外無用と新吉に念押しされたためさんたちは、祝いの暮れ六つまで、一旦帰って行く。
おこも姿の新太郎がやって来る。
おかるは、新吉には見つからないように、義母を呼ぶ。
それまでの経緯を話す新太郎。
「家族を楽にする為に、おとっつぁんが信用で預かった浜の公金を持って、江戸へ行ったが、雇ってくれる人もなく、金も使い果たしたところへ、江戸は木場の材木問屋の旦那様が、声を掛けてくれ、そこで働くようになった。良い事は続かず、自分の不注意で火事を出し、死のうとした。死ぬ前に、一目おっかさんに会って、詫びを言いたかった。」と言い、母に詫びる新太郎。
「よう帰って来たな。だが、あれから、新吉も苦労した。許してはくれない。網小屋へ、しばらく隠れていてほしい。」と言う母。
そこへ、新吉がやって来る。
母と女房のおかるの様子に、新太郎を見つける新吉。
「どの面下げて、帰ってきやがったんだ。おとっつぁんは、お前が殺したようなもんだ。出て行け!悔しけりゃ、一から出直して、立派になって帰って来い。その時は、俺が頭を下げてやる。」と言い放ち、奥へ入ってしまう新吉。
「いつかきっと、分かってくれる。網小屋で待っていてくれないか。」と言い、おかるに、祝いの赤飯を用意させる母。
赤飯の入った弁当箱を渡そうとした時、新吉がやって来る。
「三日前の麦飯で十分だ。」と言い、その弁当箱を取り、奥へ行く新吉。
戻って来た新吉は、「三日前の麦飯でも、粗末に扱うと、罰が当たるぜ。」と言い、弁当箱を新太郎に手渡す。
「おっかさんの事は、宜しく頼むぜ。」と、頭を下げ出て行く新太郎。
新吉の非情な態度に意見する母とおかる。
そこへ、親方がやって来て、「新しい船の木材は、深川の木場から買ったんだ。」と言う。
新しい船の代金を取りに来たと思った新吉は、「お金が入用の時はいるもんで…働いて、必ずお返しします。」と言い、祝いの暮れ六つまで、帰ってもらう。
「父の仏壇に見に行ったら、お金がないというじゃないか。どうしたんだ?」と新吉を問い詰める母。
「やったんだ。」
「誰に?」
「弁当箱の中に、有り金全部詰め込んで、あいつにくれてやったよ。もう一度、死んだ気になって、一から這い上がって欲しいんだ。」と言う新吉。
おかるが、新太郎の持って来た傘に気付く。
傘から見える白い物は、それまでの経緯が記されていた新太郎の手紙だった。
「木場の頭のお嬢さんに見初められ、二人は夫婦になり、自分は、人の前に立つようになった。新造船の話を聞き、自分の所の木を使ってもらった。そのまま帰ったのでは、許してもらえないと思い、お芝居を…」と書かれていた。
傘の中から小判が出て来る。
そこへ、「大変だ!」とためさんたちがやって来る。
「新しい船の周りには、大漁旗や綺麗な女の人。紋付袴で、采配していた人がいるんだ。弟の新太郎さんだったんだ。」と言うためさん。
「新太郎が立派になって帰って来たと、お前から、浜の人たちに伝えてくれ。」と、ためさんに小判を手渡す新吉。
紋付羽織袴姿の新太郎が、お供を伴ってやって来る。
「三日前の麦飯、旨かったよ。」と言う新太郎に、「冷たくして、一から這い上がってもらおうと、芝居をしたんだ。お前が造ってくれたあの船で、漁をするよ。これから先は、兄弟力を合わせてやって行こうな。」と答える新吉。
似たあらすじは、他劇団でも観た事はありますが、都若丸劇団では、初めて観るお芝居でした。
若丸座長、ゆかりさん、ひかるさんの掛合に、大笑いしました。
大笑いしながらでも、それぞれの人情にほろりとさせられたお芝居でした。