⑰より続き…
順不同になりましたが…
2部 お芝居 別れ橋
*配役*
留(トメ)*小泉ダイヤ座長
およね*辰巳龍子さん
およねの息子 音松(オトマツ)/ぐずりの松*小泉たつみ座長
ならず者
正(ショウ)*愛飢男さん
大蔵祥さん
小泉ライトさん
小泉龍之介さん
辰巳花さん
目明し
親方*宝良典さん
親方の娘 お美代(オミヨ)*辰巳満月さん
*あらすじ*
1幕:川端
幼い頃に両親をなくした留を、何かと面倒を見ていた目明しの親方。
その親方の口利きで、江戸の大工の跳梁の許で働いていた留だったが、昔の仲間のならず者の正たちがやって来て、いかさま賽を見せ、賭場へ誘う。
2幕:幕間
お美代の知らせで、賭場に踏み込んだ親方に捕えられる留。
「今日から、たった今から、まっとうになるので、見逃してほしい。」と頼み込む留に、親方は、「人助けをして欲しい。今うちで面倒を見ている、息子捜しをしているおふくろさんの倅になり、親孝行してほしい。」と言う。
「嫌ですよ。会えば、直ぐにばれてしまいますよ。」と断る留。
「大丈夫だ。おふくろさんは目が見えない。言う事を聞くか、島送りになるか。」と言う親方に、留は、しぶしぶ引き受ける。
3幕:目明しの親方の家
親方は、「おとっつぁんは甚兵衛。おっかさんはおよね。おっかさんは、半年の命の病。家の前には柿の木、裏には川があり、倅の名は音松。14の春に家を飛び出し、それから12年。」と留に伝え、親子名乗りをする前に、「お稽古」させる。
そして、親子名乗りの時が…
「おっかさん。」「音松か…」再会を喜ぶおよね。
「その重い病だって、必ず俺が治してやる。」と言う音松(留)。
4幕:音松(留)とおよねの家
仲良く暮らしていた音松(留)とおよね。
目の見えないおよねに代わり、手伝いをするお美代。
ぐずりの松と言う男を連れ、いかさま博打の誘いにやって来た正たち。
「いかさまの賽子をすり替えてくれ。」と頼まれるが、音吉(留)はきっぱり断る。
しかし、ぐずりの松は、「今日の暮れ六つ、浅草橋で待ってるからな。」と、短刀を突き付ける。
正たちが帰って行った後、途方に暮れる音松(留)。
「誰か来ていたようじゃが。」とおよねがやって来る。
一人残り、中の様子をさぐっていたぐずりの松は、表情を変える。
「八つ位の時、治作の息子と喧嘩した時の傷が残ってるやろ。ここ辺りに。」と自分の頭の後ろに手を当てるおよね。
ぐずりの松は、自分の顔の傷に手を当て、その場を去って行く。
音松(留)は、やって来たお美代に、「おっかさんの事は頼んでおくぜ。」と言い、出刃包丁を持ち出し、浅草橋に向かう。
5幕:浅草橋
音松(留)を連れずに一人戻ってきたぐずりの松。
「あいつの家には近寄るな。無視するんだ。地獄の苦しみだ。つれぇぞ。」と言うぐずりの松に、納得出来ない正たち仲間。
「留が来ないのは、あのばばあのせいだ。」言う正の言葉に、ぐずりの松は、「俺の名前は、信州は松井田の音松。あそこにいるのは、おれのおふくろだ。てめぇらには、指一本触れさせない。」と、斬り合いになる。
仲間たちを斬り殺し、自分も瀕死の傷を負ったぐずりの松。
そこへ、音松(留)がやって来る。
ぐずりの松の変わり果てた姿に、「俺がこの手で叩き斬ってやる。」と言う音松(留)。
「俺が、あの世に送ってやった。」と言うぐずりの松。
そして、「喧嘩で付いた傷、おふくろは、きっと思い出すぞ。あの時付いた傷は、ここにこうしてあるんだ。」と傷の付いた自分の顔を見せる。
「まさか、お前…」と、ぐずりの松が、およねの息子の音松と悟る音松(留)。
そこへ、「出刃包丁を持って、喧嘩に向かった。」と、お美代に聞かされたおよねが、お美代に連れられやって来る。
「 仲間に、のみを見せてやるつもりで…お美代ちゃんが、のみと出刃を間違えたんだよ。」と言う音松(留)。
そして、音松(留)は、「昔の様に、遠くにいるように、音松よ〜と、一度呼んでほしいと、およねに頼む。
「音松よ~!」と呼ぶ母の声に、最後の力を振り絞って辿り着いた浅草橋の橋の上から、「おっかさん!」と答えるぐずりの松。
音松(留)は、「俺と一緒に帰ろうな。」と、およねの手を引き、お美代と三人、帰って行く。
その後姿に、「おっかさん。」と、手を合わせ息絶えるぐずりの松。
前半は、親子名乗りのお稽古をする留と親方に、笑わせてもらい、中程は、正を淡々とクールにいじるぐずりの松といじられる正に、笑わせてもらいました
後半は、最初は渋々引き受けた倅でも、本当のおっかさんのように思う留の心情に、親不孝をした母とその母に、自分に代わって、親孝行してくれている留を、命を張って守り抜いたぐずりの松の心情に、泣かせてもらいました
口上
小泉ダイヤ座長
⑲へ続く…