㉓より続き…
順不同になりましたが…
2部 お芝居 へちまの花
*配役*
与作(ヨサク)*桜春之丞座長
与作の妹 お米(オヨネ)*伍代孝雄さん
庄屋*桜京誉さん
庄屋の息子 松太郎*三代目 桜京之介座長
使用人 勘助(カンスケ)*劇団井桁屋 酒井健之助座長
出入りの職人
金次(キンジ)*伍代つかささん
玉吉(タマキチ)*桜梁太郎さん
近所の人*小春かおりさん
*あらすじ*
1幕:与作の家の前
庄屋、勘助、松太郎が、与作の家の前を通りかかると、機織りの音がする。
江戸に絵の勉強に行っていた松太郎が、奥を覗き込むと、機織りする娘がいた。
そして、機織りをする綺麗な後姿の娘の絵を描き出す。
この家の与作が、怒させると収まらないと知っている勘助は、早くと促すのだが…
そこへ、与作が帰って来る。
勘助は、「若旦那様が綺麗な後姿に一目惚れし、嫁にほしい。」と、咄嗟に嘘を付く。
それならばと、肝心の当人の気持ちを確かめるべく、妹のお米を呼ぶ与作。
松太郎を見たお米は、「男前でねぇかぁ。若旦那様のお嫁さんになる。」と言う。
しかし、お米を見た松太郎は…
2幕:庄屋の家
「あんなゴリラみたいな人は嫌だ。」と言う松太郎。
「破談にするには、どうしたら良い?」と勘助に聞く庄屋と松太郎。
咳をして、労咳の振りをする。
それでも駄目な時は、盗人の芝居をする。
大旦那様は盗人の頭。若旦那様は石川六右衛門。
それでも駄目な時は、博打で借金が五両ある事にする。
出入りの職人の金次と玉吉を呼び、事の子細を話し、手を2回叩いたら出て来るように仕向ける。
与作と、花嫁衣装に身を包んだお米がやって来る。
足袋を履き忘れたと家に戻る与作。
一人残されたお米は、挨拶するのだが…
咳をする松太郎。
松太郎が、労咳だと聞かされたお米は、「二人で、戦っていきましょう。」と言う。
自分達は盗人と言うと、「夫婦喧嘩に花が咲くと言うもんです。」と言うお米。
手を2回叩く勘助。
「五両を返せ!」とやくざ役の二人がやって来て、松太郎を痛めつけようとする。
「その五両、おらが代わりに返すだ。そのお金はなぁ、兄ちゃんは、野良仕事、おらは、機織りで一生懸命二人で貯めたお金を持たせてくれたんだ。」と言うお米。
そして、「働く…、はたの人が楽になれば、皆が幸せになる。どうか全うに働き者になってくれよ。」と、やくざ役の二人を諭す。
「お前さんは、性格の綺麗な娘さんだ。この五両を持って帰りなさい。」と、金次が、勘助達に頼まれた事を打ち明ける。
そこに、与作が戻って来る。
「断るなら断るで…二親様に代わって、拳骨のひとつも降ろさなければ収まらない。」と拳を振り上げる与作。
それを止め、「最初から分かってたんだ。帰ろう、帰ろう。おらと一緒に帰ろうよ。」と言うお米。
二人が帰ろうとすると、「すいません。私が間違っていました。お米さんは、花に例えると、へちまの花。お米さんを私の嫁として欲しい。」と頭を下げ詫び、頼む松太郎。
「お米に聞いてみます。」と言う与作。
「こんな事までされて、はい、嫁に行きますなんて、言わないよな。」と聞く与作に、「普通はな。」と答えるお米。
もう一度、同じ事を聞く与作。
「普通はな。兄ちゃん、おらは普通でねぇ。若旦那様のお嫁さんになる。」と言うお米。
庄屋も了承し、「良かった。良かった。」と喜ぶ与作。
口上
与作*桜春之丞座長
松太郎*三代目 桜京之介座長
㉕へ続く…