⑨より続き…
2部 お芝居 灰被姫は火の車お万
*配役*
国定忠治*姫猿之助座長
お万*咲之阿国さん
お万の父*姫猿之助座長(2役)
お万の継母*千鳥さん
お万の異母妹 お千*真金ひよさん
若旦那*初音きららさん
ならず者親分・その子分2人*助っ人さん3人
*あらすじ*
1幕:小屋前
継母とお千は、若旦那を伴ってお祭りへと向かう。
若旦那は、お万の事が気になるが、二人に押し切られてしまう。
三人の後を追って、お万がやって来る。
「若旦那様と一緒に、お祭りに行きたい。」と頼むお万だが、「帰れ!」と冷たく言い放つ継母。
「尽くせば尽くすほど、おっ母さんに嫌われる。私にどうしろと言うの。」と、泣き崩れるお万。
そこに、父がやって来る。
「お前のおっ母さんは、本当に優しい人だった。そのおっ母さんがぽっくり亡くなり、その後に、すり寄って来たのが今のおっ母さん。
わしと一緒にお祭りに行こう。手を引いてやる。わしの手を放しちゃならんぞ。」そう言い、お万の手を引き祭りに向かう二人。
一人の旅人が、小屋へと入って行く。
ならず者達に、「酌女しろ!」と絡まれているお千を助けに入ったお万は、お千と一緒に小屋へと逃げる。
出て来たお万の手には刀が握られていた。
その刀を振り回し、ならず者を斬ってしまう。
後から出て来たお千は、お万に向かって、「人殺し!」と叫び逃げて行く。
とんでもない事をしてしまったお万は、「死ぬより他にない。先立つ不孝をお許し下さい。」と走り去る。
小屋から出て来た旅人は、置き去りにされていた自分の刀と走り去るお万を見て、「しまった!」と叫ぶ。
2幕:継母達の住む家
元気がないお千に、母が理由を聞く。
「夫婦になって3ヵ月経つのに、若旦那様が、指一本触れない。」と言うお千。
母が色々指南する。
そこへ、若旦那が帰って来るが、お千の折角の丸髷を、くちゃくちゃにしてしまう。
お万は、あの時の旅人の子分となり、二人で、やって来る。
「俺がいちゃぁ邪魔だろう。おっ母さんに、しっかり、親子名乗してもらえ。あばよ。」と去って行く親分。
継母と再会したお万だったが…
「忘八者!忘八者とは、世の中の恥を捨てたやくざ者の事。強請たかりに来たのか?
金だったらくれてやるよ。その金は、私とお前の縁切り金だ!」と財布を投げつける継母。
「おっ母さんさえ、分け隔てなく育ててくらたなら、こんなやくざにはならなかった。
お父つぁんにだけでも、会わせて欲しい。」と頼むお万。
「あんたが出て行ったあと、労咳で死んだよ。あんたに会いたいと言って死んでいった。
今のあんたの姿を見たら悲しむだろうね。」と言う継母。
それでも、「親子名乗をして欲しい。」と頼むお万に、「さっさと帰りな!」と突き放す継母。
「困った事があった時でも、川の水が逆さに流れようと、天地がひっくり返ろうとも、助けてくれとはいわないだろうね。」と言うお万に、「川の水が逆さに流れようと、天地がひっくり返ろうとも、助けてくれとはいわない。」と答える継母。
それを聞き、諦め立ち去るお万。
ならず者の親分が、「五十両を返せ。」とやって来る。
「借りたお金は五両。」と証文を見る継母。
「十の墨の色が違う。」と小細工がばれたならず者達は、無理矢理、お千を連れて行ってしまう。
「誰かいないか?誰かいないか?」と叫ぶ継母。
そこへ、お万が現れる。
「目の中に入れても可愛い子だ。お千を助けて欲しい。」と言う継母に、「さっきは何て言った?」と断るお万。
継母は、「私の言う事は聞けなくても、この人が言う事だったら、聞けるだろう。」と父親の位牌を見せる。
その位牌を抱き、「お父つぁんを出されば、助けないとは言えない。お千、私が行くのを待ってろよ。」と駆けて行くお万。
様子を伺っていたお万の親分は、しゃがみ込んでいた継母に、そっと、合羽を掛ける。
その親分の顔を見た継母は、はっとなる。その親分は、国定忠治親分だった。
3幕:一枚岩前
「金の抵当にお千を。」と言うならず者の親分。
お千と若旦那を助けるべく、「待った。待った。」と、お万がやって来て、二人を逃がす。
「あたいの名は、火の車お万だよ。」と、ならず者達を斬る。
「お万、また人を斬っちまったな。これからどうする?」と、お万の後を追って来た忠治親分が聞く。
「これまで通り、親分の側に置いてやって下さい。」と答えるお万。
「お前の気持ちは嬉しいが…お前の罪は、俺がかぶってやるから、おっ母さんの所へ帰って親孝行すれば良い。」と言う忠治親分。
「誰に何と言われようと、お前さんのその大きな背中を見つめて、付いて行きます。」と言うお万。
「お前達子分の道は、この俺が示してやる。俺に付いて来いよ。」と言う忠治親分。
そこへ、「お万、お万。」と、継母が捜しにやって来る。
紙垂で顔を隠す忠治親分とお万。
「お万、お前の新しい門出だ。ひと舞い舞うか。」と舞いながらその場から去って行く」忠治親分とお万。
姫猿之助座長作のお芝居との事。
色々な芝居を足して割った感じ。
咲之阿国さんの継母に苛められても尽くす娘から、女やくざへの豹変ぶり、声色や口調も変わり、見応えがありました。
口上
国定忠治*姫猿之助座長
火の車お万*咲之阿国さん
お二方
⑪へ続く…