㉕より続き…
順不同になりましたが…
1部 お芝居 定九郎破れ傘
*配役*
花沢一座
太夫元*市川かずひろ座長
女座長 菊(キク)*市川たかひろ若座長
座員 清吉(セイキチ)*中村喜童さん
座員 亀吉(カメキチ)*優伎座 英虎博さん
座員 ひかり*浅井劇団 浅井ひかりさん
座員*劇団KAZUMA 冴刃竜也副座長
座員 定八*市川実蕾さん
石黒一家
親分*優伎座 英虎博さん
子分*肥前隆次さん
子分*華家銀次郎さん
子分*市川みづきさん
子分*劇団KAZUMA 冴刃竜也副座長
*あらすじ*
1幕:楽屋
太夫元に借金があり、花沢一座が潰れると言う噂が、座員の耳にまで入っていた。
「夜の部は他に任せ、私と一緒に親分さんの所へ。」と言い、無理矢理、座長を連れて行こうとする太夫元。
石黒の親分は、座長の菊が所望。
「座長を連れて来たなら、借金は棒引き。」と、太夫元に言っていた。
座員たちが、引き止めようと争っているうちに、打ち所が悪く、息を引き取る太夫元。
清吉が、「役人の所へ行く。」と言うと、座長が、「私が、役人の所へ。」と言う。
「いつも、一つ足りない。」と、皆から言われる定八が、
「自分が行く。死んだおっ母さんが、恩を返せと言っていた。
座長と清吉兄さんがいなければ、幕は開きません。」と言う。
「定、許して遅れ。」と頭を下げる座長に、
「いいんです。定はちょっと馬鹿だから、殺されはしません。定が行きます。」と答える定八。
座長は、ひかりに、「定九郎破れ傘」のお芝居の定九郎の着物を持ってくるように言う。
「定九郎破れ傘」は、定八がいつか演じたいと言っていたお芝居。
座長は、その着物を定八に手渡す。
「必ず、帰って来いよ。」言う清吉。
「定九郎の最後の場面を、お前に見せてやる。
いいかい。よく見ておくんだよ。これが、定九郎の破れ傘だよ。」と演じる座長。
「長々お世話になりました。」と言い、貰った着物を大事に抱え役人の所へ行く定八。
3年3ヶ月経過
2幕:茶屋前
「今夜の暮れ六つまでに、連れて来い。」と清吉に言い、帰って行く石黒親分。
清吉は、借金の為に、座長の身を売る算段だった。
「早く仕度をしろ!」と言い、茶屋に戻る清吉。
一人になった座長。
そこへ、三宅島に流されていた定八が、刑期を終え、花沢一座を捜しにやって来る。
座長を見つけ、「あっ!座長!」と声を上げる定八。
しかし、座長は、ぴしゃりと戸を閉めてしまう。
3幕:茶屋
定八が役人に名乗って行ったその後、座長の菊と清吉は一緒になっていた。
興業が上手く行かず借金がかさみ、一座を潰し、自らも博打で借金していた清吉。
「親分さんの所へ、借金の肩代わりの為に行ってくれたら、借金が棒引きになる。」と、菊に言う清吉。
首を縦に振らない菊に、手を上げる清吉。
そこへ、ひかりと定八が、飛び出してくる。
三宅島で、一生懸命貯めたお金を差し出す定八。
しかし、借金の額は五十両。
それを聞き、「今はないけど、作って来ます。」と言う定八に、
「時が無いんだ!暮れ六つまでにお堂まで持って来い。」と言う清吉。
「暮れ六つまでに持って来たら、座長を自由にしてくれますか?
また、一座しましょ。定が行くまで待ってて下さい。」と言う定八。
4幕:お堂前
賭場にある大金を見て、「お金を貸して欲しい。」と言うも、聞き入れられず、相手を、斬り付けて五十両を手にした定八がやって来る。
「金が先だ。」「座長が先だ。」と押し問答の最中、お堂の扉が開く。
座長が、舌を噛み切り、お堂の扉にもたれかかる様に死んでいた。
「折角、折角、作ったこのお金、何の役にも立たなかった!」と嘆く定八を斬る清吉。
傷を負っていながら、清吉を刺す定八。
「自分は悪くない。親分が悪い。助けてくれ。」と言う清吉を刺し殺す。
「座長、許して下さい。
自分が一座に入ったばかりに、こんな事になってしまった。
村八分にされていた自分を助け、温かいご飯、寝る所をくれた座長に、恩返しも出来なかった。
高い物じゃないけれど、着物を買ってきました。これ着て下さい。」と言う定八。
芸者姿の座長に、着物を掛ける。
「綺麗だ。座長、お似合いでございます。もう、離れない。
島に流されてから、ずっとずっと稽古してました。ずっと稽古重ねてました。
見て下せぇよ座長。
これが、これが、定九郎破れ傘だよ。」
見事、定九郎の最後の場面を演じた定八は、座長の傍らで、息を引き取る。
いつも一つ足りない定八役の実蕾さん。
あちらこちらで、お客様のすすり泣きが聞こえる程、真に迫っていました。
口上
市川かずひろ座長
浅井劇団 浅井ひかりさん
市川たかひろ若座長を含むお三方
㉗へ続く…