⑲より続き…
2部 お芝居 喧嘩屋五郎兵衛
*配役*
喧嘩屋一家
親分 五郎兵衛*大和龍さん
代貸*大和美明さん
下緒の伊之助*大和拓矢さん
若い衆*大和倫大朗さん
若い衆*美月恋さん
五郎兵衛の兄 朝比奈藤兵衛*大和みずほ座長
八百屋の藤助*大和一也さん
藤助の女房 およし*美月かなさん
伊勢屋のお嬢さん*美月ゐとさん
*あらすじ*
1幕:喧嘩屋五郎兵衛一家
八百屋の藤助が、五郎兵衛親分に大事な話があるとやって来る。
「花見見物の折に、お嬢さんを助けた覚えは?」と尋ねる藤助。
「10日前、花見見物の時に、酔いどれ侍に絡まれていたお嬢さんを助けた覚えがある。」と答える五郎兵衛親分。
「そのお嬢さんは、伊勢屋のお嬢さんで、五郎兵衛親分と一緒になりたいと…
顔や形に惚れたのではない。五郎兵衛親分の心意気、度胸の良さに惚れた。」と聞かされた五郎兵衛親分は、この縁談を引き受ける。
そして、「本当に、この話は大丈夫か?」と念押しする五郎兵衛親分。
「この話が、嘘、偽り、人間違いだったら、私のこの首を、親分に差し上げます。」と言って帰って行く藤助。
五郎兵衛親分は、結納金三百両を持って行く大役を、伊之助に任す。
「やっと、この俺にも、春が来たようだ。」
2幕:藤助の家
藤助の帰りを待っていたおよしと伊勢屋のお嬢さん。
帰って来た藤助は、「五郎兵衛親分が引き受けてくれた。」と話す。
そこへ、三百両の結納金を持ってやって来た伊之助。
伊之助を見るなり、「あなたじゃ、あなたじゃ、私のあなたじゃ。
私が好きになったのは、あの人よ。」と言うお嬢さん。
「今更、この話は間違いでした。嘘、偽りと言えば…」と肩を落とす藤助は、およしに諭され五郎兵衛一家に向かう。
3幕:喧嘩屋五郎兵衛一家
仮祝言の日、酔った藤助がやって来る。
「お嬢さんは何処だ?」と尋ねる五郎兵衛親分。
「お嬢さんは来ませんよ。
実は、あの話は、人間違いでございます。
お嬢さんの事は、きっぱり諦めて下さい。」と言う藤助。
「誰と間違った?」と尋ねる五郎兵衛親分。
「下緒の伊之助」と答える藤助。
その藤助に、「化け物」と言われ、拳を振り上げようとする五郎兵衛親分がったが、
「関八州の親分達が来ている。男を立てて欲しい。
もう一度お嬢さんの所へ行って、頼んで欲しい。」と、両の手突いて頭を下げる五郎兵衛親分。
「ひつこいお人だなぁ。駄目なものは駄目なんです。」と言い放つ藤助。
怒った五郎兵衛親分が、刀を振りかざそうとした時、五郎兵衛親分の兄の朝比奈藤兵衛が、止めに入る。
五郎兵衛を「化け物」と言った藤助に、
早くに、二親を亡くした事、
五郎兵衛が高熱を出し、薬を飲まそうとしたが、畳のヘリにつまづき、
その薬を、五郎兵衛の顔にかけてしまった事を話す藤兵衛。
そして、五郎兵衛の許へ、、正直に言いにやって来た藤助を、
「お前さんは、男の中の男だ。お前さんは、家に帰りなせい。」と帰す。
「あんちゃんが、あの時に、薬を掛けてしまって、辛い思いをさせてしまった。
俺の顔とお前の顔を、代えてやりたい思いがするぜ。」と詫びる藤兵衛。
「五郎兵衛に、酒を飲ますな。何かあったら、直ぐに呼べ。」と子分達に言い付け、部屋を出る藤兵衛。
藤兵衛がいなくなると、「酒を持って来い。」と言う五郎兵衛。
酒の入った丼に写る自分の顔を見て、怒りがこみ上げ、
「俺を馬鹿にした奴らは、皆殺しだ。」と言い、部屋を出て行く。
4幕:喧嘩屋五郎兵衛一家前
伊之助が、五郎兵衛一家を後にし、旅に出ようとしている所へ、藤兵衛が現れる。
「旅に出るなら、お嬢さんを連れて行け。後の事は、俺が何とかする。」と言い、お嬢さんを呼ぶ。
「おじきが、そう言われるのなら…」と、二人で旅立とうとするところへ、五郎兵衛がやって来る。
「俺と勝負しろ。」と言う五郎兵衛親分。
「親分に向ける刃は持っておりません。」と答える伊之助に、襲いかかる五郎兵衛は、誤って、お嬢さんを斬ってしまう。
「対一の勝負をするんだな。堅気を斬った刀では…俺の刀を使え。」と、五郎兵衛に、自分の刀を差し出す藤兵衛。
しかし、伊之助を斬っても斬っても斬る事が出来ない。
「あんちゃん、いったいどう言う事だ?」と、五郎兵衛が言うや否や、伊之助は、自らの首を斬る。
その伊之助に、止めを刺そうとする五郎兵衛を制止する藤兵衛。
五郎兵衛は、悟ったように、自らの腹を突く。
そして、倒れている伊之助の手とお嬢さんの手を握り合わせる。
「あんちゃん、馬鹿な弟を許してくれよ。
だがな、俺は化け物なんかじゃありゃしない。
俺から流れる赤い血を見てくれ。
俺は化け物なんかじゃありゃしない。」
「今まで、辛い思いをしてきたな。
お前は、化け物なんかじゃない。
俺にとっては、可愛い弟だ。」
息絶える五郎兵衛のやけど跡を隠し、「五郎兵衛!」と叫ぶ藤兵衛。
意外な配役でしたが、龍さん、頑張ってました
口上
朝比奈藤兵衛*大和みずほ座長
伊勢屋お嬢さん*美月ゐとさん
㉑へ続く…