⑭より続き…
順番が前後しましたが…
2部 お芝居 愛染(あいせん)走馬灯
*配役*
御店
お嬢様 お菊*紀訥紀乃さん
手代 光太郎(コウタロウ)*市川富美雄座長
使用人 おきみ*谷川恵那さん
使用人 おふみ*小川紗矢香さん
使用人*北斗さん
二天門の辰五郎親分*中海加津治さん
子分 三太*下町かぶき組 飛雄馬花形
辰五郎親分の弟分 権次(ゴンジ)*花柳劇団 花柳願竜座長
役人 佐平次(サヘイジ)*市川千也さん
お菊と光太郎の娘 お春*實川結さん
三宅島帰りの男*北斗さん
辰五郎の手下*下町かぶき組 飛雄馬花形
辰五郎の手下*北斗さん
カフェ女給*谷川恵那さん
カフェ女給*小川紗矢香さん
*あらすじ*
1幕:隅田川辺り
御店のお嬢様のお菊と、手代の光太郎は、割れない仲になる。
お菊は、「私のお腹には、あなたのややが…」と光太郎に告げる。
そして、二人は、隅田川に身を投げて死のうとする。
そこを、通りがかった口入屋の二天門の辰五郎が助ける。
「俺と一緒においでなさいな。」
2幕:辰五郎一家
一年後
お菊と光太郎は、辰五郎一家で世話になっていた。
お菊は女の子を産み、「お春」と名付けられた。
光太郎は、鳥目を患っていた。
辰五郎親分は、お菊に横恋慕。
権次が、呼ばれて、やって来る。
「人を一人殺して欲しい。」と言い、一年前の経緯を話す。
「お菊を自分の女にする為には、邪魔な光太郎を殺して欲しい。」と言う辰五郎親分。
「人を殺すと、寝覚めが悪い。」と断る権次。
「俺が助けた恩を忘れたのか。」
五年前、す巻きにされ、隅田川に放り込まれようとした時に助けた事を、恩着せがましく言う辰五郎親分。
渋々引き受ける権次。
「光太郎は、鳥目が治るように、願掛けに、日朝へお参りしている。
戻ってきたら、もう一度行くように仕向ける。
そこで、光太郎を殺してくれ。」と言う辰五郎親分。
光太郎が、お春を抱いて戻って来る。
「お菊が、産後の肥立ちが悪く乳がでないので、乳粉のお金を貸して欲しい。」と辰五郎親分に頼む光太郎。
しかし、一年前から、何もかも世話していると言い、渋る辰五郎親分。
「目が良くなったら、働いて、必ずお返ししますから。」と頭を下げる光太郎に、
「目が見える明るい時に参るから、願いが叶わない。
目が見えない暗い時に参ればこそ、ご利益がある。
今から、日朝様へ行けば良い。
もう一度、行って戻ってきたら、乳粉のお金を貸してやる。」と言う辰五郎親分。
それを聞き、再び日朝様へ向かおうとする光太郎。
その光太郎に、三太が、「自分の貯めた銭を乳粉を買う為に使って欲しい。」と言い差し出す。
有難く貰って行く光太郎。
権次は、「光太郎と子供も一緒にやってくれ。」と、辰五郎親分に言われ、日朝堂へ先回りする。
その権次を、出刃を握りしめた三太が追いかける。
3幕:日朝堂
先回りしていた権次。
お春を抱いて、光太郎がやって来る。
「辰五郎親分に、邪魔になった光太郎を、ばっさりやってくれ。」と頼まれたと言う権次。
「自分は、身から出た錆。自分の命は差し上げましょうから、子供だけでも助けて欲しい。」と哀願する光太郎に襲いかかろうとする権次。
寸前のところで、助けに入り、権次を刺した三太だったが、権次と勘違いし、三太を刺してしまう光太郎。
「一緒に医者へ行こう。」と言う光太郎。
「今まで、一家の中で、兄貴衆に馬鹿にされ、罵られ…
そんな時に、光太郎さん達が一家にやって来て、優しくしてくれ…
光太郎さんの為に死んでいけるのなら、本望でございます。」と言って息を引き取る三太。
そこへ、役人の佐平次が通りがかる。
向こうで、倒れている権次を見つけ、「やくざ同士の争いか。」と。
そして、三太を見て、「辰五郎一家の若い衆。やったのは誰だ?」と。
光太郎が、「自分が…」と言うと、
「目が悪くて、人を刺せる?白い黒いは、番屋で聞こうじゃないか。」と言う佐平次。
4幕:品川の船着き場の茶店前
光太郎は、三宅島へと島流しの刑に。
時代は明治へと移り…
役人を辞めた佐平次は、茶店を営みながら、お春を育てていた。
お春10才の春。
お春は、茶店を手伝いながら、通る人毎に、「私のお父っちゃん知らない?」と尋ねていた。
その茶店の前を、三宅島から戻って来た光太郎が通りがかる。
その光太郎に、「私のお父っちゃん知らない?三宅島から帰って来るの。」と聞くお春。
「三宅島からだったら、ひょっとして、知り合いかもしれない。お父っちゃんの名前は?」
「光太郎」
「おっ母ちゃんの名前は?」
「お菊」
「お前の名前は?」
「お春だよ。」
驚く光太郎。
その表情に、「おじちゃん、お父っちゃんが帰って来た。」と店の中へ呼びに行くお春。
半信半疑の佐平次が出て来て、光太郎を見るなり、「間違いない。」と言う。
光太郎が、佐平次を見て、「覚えがない。」と言う。
「あの時、光太郎さんは、鳥目で見えていなかった。
あれから、自分は、十手を返上して、お春と二人で光太郎さんの帰りを待っていました。」と言う佐平次。
「お父っちゃん、お父っちゃん。」
「お春、お春。よく達者でいてくれたな。」と再会を喜ぶ光太郎とお春。
「お菊さんは、二天門の辰五郎と一緒になり、盛況にカフェを営んでいる。」と告げる佐平次。
「奥の部屋でゆっくりと…」と言う佐平次の言葉に、三人で店の中へ入って行く。
そこへ、辰五郎とお菊がやって来る。
お茶を持って来たお春。
お春を見て、「可愛いねぇ。自分の子供も同じ様な年恰好。あの時、好きな光太郎さんや子供とも別れさせられ…」と、辰五郎をなじるお菊。
面白くない辰五郎は、「帰るぞ!」と、お茶も飲まずに帰って行く。
仕方なく、後から付いて行くお菊。
二人の様子を、茶店の中から伺っていた光太郎は「畜生!」と吐き捨てるように呟く。
光太郎に、「お父っちゃん」と駆け寄るお春。
5幕:横浜のカフェ
お菊が一人でお酒を飲んでいる所へ、光太郎がやって来る。
刃物を振りかざし、お菊を斬ろうとするが…
「あなたに斬られて死ねるなら幸せ。
辰五郎に、どんなに責め折檻されても、身を許した事はない。」と言うお菊。
お春を伴って来ていた光太郎は、お菊に引き合わす。
「おっ母ちゃん、おっ母ちゃん」
「お春」
抱き合う母娘。
そこへ、辰五郎達が帰って来る。
光太郎に、十年前の事を言われ、「証拠があるのか?」と開き直る辰五郎。
「生き証人なる。」と、三太に刺し殺された筈の権次が現れる。
そして、「雑魚達は引き受けた。」と、光太郎の助太刀をすると言う。
光太郎に向けて、拳銃を撃とうとする辰五郎。
それを権次が庇い撃たれてしまう。
その撃った辰五郎を、後ろから刺すお菊。
権次は、親子三人に、早くこの場を去るように促す。
全ての罪を被るが如く、手拭を口に銜え踏ん張り、三人を見送る権次。
「ワッ!生きてた!」
権次が生き証人になると言って出って来た瞬間、口走っていました(笑)
それにしても、これで、光太郎・お菊・お春の親子三人は、幸せに暮らせるのでしょうか…
⑯へ続く…