④より続き…
2部 お芝居 お銀片割れ月夜
*配役*
旅籠屋
女将 お銀*澤村優翔花形
お銀の亭主 藤助(トウスケ)*高羽ひろきさん
板前 とん吉*澤村黒龍さん
板前 ほね吉*澤村銀河さん
金町一家 娘 お小夜*澤村愛奈さん
藤助の兄弟分 向こう傷の半次(ハンジ)*劇団天華 若頭:澤村龍太郎さん
旅人 千太郎*劇団天華 澤村神龍副座長
*あらすじ*
1幕のみ*旅籠屋
表向きは旅籠屋、裏では女郎屋の主の父を殺され、切盛りしている女将。
そんな女将の尻に敷かれている亭主の藤助が、ならず者に絡まれていたお小夜を助け、連れ帰る。
お小夜は、金町一家の娘だが、父である親分を殺されていた。
お銀は、同じ様な境遇のお小夜に、自分の所で働けば良いと言う。
藤助の飲み分けの兄弟分の半次が訪ねて来る。
半次は、草鞋を脱いだ金町一家の娘が気に入りったが、親分に反対され、騙しに掛け殺したと言う。
藤助もまた、この旅籠屋の身代を狙って、主の娘のお銀の亭主に納まったが、お銀の父にこき使われ、騙しに掛け殺したと言う。
旅人が、「泊めて欲しい。」とやって来る。
「ここは表向きは旅籠屋だが、裏では女郎屋。」と言う女将に、「他を当たる。」と言う旅人。
「お祭りで、他はいっぱい。2人分の宿代を払ってくれたら…」と言う女将。
渋々了承する旅人。
女将は、旅人に、「良い男だね。自分の奢りで、一緒に呑もう。」と言う。
旅人の故郷は、上州は館林。
女将も、「自分も同じ。」と言うと、「どうせ、客に合せて言っているんだろう。」と言う旅人。
旅人は、「女を迎えに帰る。」と言う。
好きな女がいたが、その土地を離れる事になった。
「お前を必ず迎えに来るから、待っていてほしい。」と言うと、「何年経っても、嫁に行かず、ずっと待ってます。」との女の言葉。
女将は、7つか8つの男の子と5つか6つの女の子の話と聞き、「便りの一つでも出したのか。」と聞くと、「自分は読み書きが出来ない。」と答える旅人。
「信じて待っていると思うのか。」と尋ねる女将に、「自分が待っていたんだから、待っている。」と言う旅人。
その女の名前がお銀と知った女将は、思わず、「千ちゃん。」と口走ると…、
「客に千ちゃんは無いだろう!」と怒る旅人。
20年振りに会う女の為に、花嫁衣裳を買って来た旅人は、着物の目利きをして欲しいと頼む。
花嫁衣裳に触れようとする女将に、「匂いが付くから、あまり触らないように。」と注文と付ける旅人。
そこへ、お小夜が、「父の敵が向こうにいる。」とやって来る。
千太郎は、以前に金町一家に草鞋を脱いだ事があった。
事情を聞いた千太郎は、一宿一飯の恩義から、自分が助っ人すると言う。
そこへ現れた藤助と半次。
藤助は、旅籠屋の身代欲しさに、お銀の父を殺した事、半次とは兄弟分と告げる。
敵討を果たした千太郎だったが、自らも斬られてしまう。
千太郎は、虫の息の中、同じ故郷の女将に、「代わりに花嫁衣裳を着て、見せて欲しい。」と言う。
女将の許へ必死に近づき、花嫁衣裳を握り、「お銀ちゃん!」と叫び命を絶つ。
お小夜は、女将さんがお銀さんと気付く。
「何で、千太郎さんが生きているうちに、自分がお銀と言わなかったのか。」と言うお小夜。
「千ちゃんが思っているお銀ちゃんじゃない。こんなあばずれと、訳が違う。」と言うお銀。
出て行こうとするお銀に、「お店はどうするのか?」と尋ねるお小夜。
「お店も、お金も、何もいらない。この花嫁衣裳だけで…
これから先は、お銀片割れ月夜で暮らすのよ。千ちゃん!」
去って行くお銀。
口上
お銀*澤村優翔花形
澤村みなみさん
⑥へ続く…