⑧より続き…

2部 お芝居三つの魂
*配役*
伴天連(バテレン)のお竜 コト おしん*姫川寿賀座長
目明し 新吉*姫春之助座長
お菊*光栄座 夢乃楓さん

山猫の権次*二代目 姫川竜之助総長
三太*姫川小代美さん
やもりの宇之吉*劇団鷹ノ羽 梅沢菊之助座長
町の娘*姫川れいかさん


*あらすじ*
伴天連一味の宇之吉は足抜けし、堅気として、いかり床を営みながら、女房のお菊と子供と暮らしていた。
そこへ、兄貴と慕っていた伴天連一味の権次が訪ねて来る。
権次は、「大和屋の三番蔵の錠前を開けるか、十両の金を用意するか」との無留難題。
「大和屋の三番蔵の前でまっている」と言い残し、出て行く。
亭主の宇之吉の顔色が悪い事を察したお菊は、わけを聞く。
お菊は、子供の為に竹筒に貯めていた十両を、親子三人幸せに暮らす為ならと、宇之吉に託す。

大和屋の三番蔵の前、
宇之吉は持ってきた十両を、頭のお竜に差し出すが…
初めから、宇之吉に錠前を開けさす事だけが目的のお竜。
錠前を開けないと、女房子供の命を…と言われ、これ一度切の約束で、錠前を開けに行く。

そこに、通りがかった目明しの新吉と子分の三太。
蔵に明かりが点いている事を不審に思う。

宇之吉の家にやって来た目明しの新吉は、お縄になるように進言する。
宇之吉は、お菊の事が気がかりで、事情を新吉に聞いてもらうようにお菊に言う。

お菊の一家は、九州に住んでいて、キリシタンだった。
見せしめに、磔獄門火あぶりの刑にされた両親。
残された姉兄の三人で、江戸を目指していたが、はぐれてしまった。
行き倒れになったお菊は、この家の藤兵衛に助けられ、育ててもらった。
そして縁あって、宇之吉と所帯を持ち、子供が出来た。

それを聞いた新吉は、兄の名前を尋ねると「新吉」
そして、二人の腕には、十字架を隠す火傷の跡。
「役人が嫌いな兄さんが、役人になる訳がない」と言うお菊に、新吉が話す。

姉妹とはぐれて、行き倒れになった新吉を助けたのは、鬼平と呼ばれる役人の長谷川平蔵。
事情を聞いた平蔵は、新吉に役人になる事を勧める。
役人になると、町人が足を踏み入れる事が出来ない所まで、出入りできる。
姉妹を探す為に、役人になったと言う。

お菊は、新吉に、宇之吉の縄を解いて欲しいと泣いて頼む。
「それは出来ない」と言う新吉。
そこへ、自分をお縄にと、伴天連のお竜が現れる。
「ここにいる男は知らない。
前に一味にいたやもりの宇之吉と言う男は、足抜けし、海の藻屑となった。」と言うお竜。
「頭、何を言ってるんですか。宇之吉ですよ。」と言う宇之吉。
「知らない」と突っぱねるお竜。
その時、お竜の腕に、十字架を隠す火傷の跡を見つけた宇之吉。

お竜は、新吉・お菊の姉のおしんだった。
おしんは、権次に拾われ育ててもらった。

権次が現れ、「やっと会えたのに…俺が拾ったばっかりに…」と。
自分がいたのでは、おしんは後ろ髪を引かれると、自らを腹を刺し首を斬り死んで行く。

そして、おしんは、引かれて行く…



はぁ…やっと会えたと思ったら、悲し過ぎる別れのお話でした。
悲しいお話の中、三太役の小代美さんには、大笑いさせてもらいました。
三太の場面では、客席、声を上げての笑いの連続でした爆笑爆笑

このお芝居は、他劇団では、「聖母たちのララバイ」で、何度か見た事があります。


口上
伴天連のお竜 コト おしん*姫川寿賀座長



⑩へ続く…