こんにちは
今日もへっぽこママン
エムマリケイコです
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『父のエンゼル
ケア』
です。
葬儀屋さんから
『湯灌(ゆかん)をどうするか？』
訊かれ
断ると
そのまま浴衣を着せようとしたので
『私が父の体を拭きます』
と、葬儀屋さんに待っていてもらうことにしました
ここ何日か父は体調が悪かったのでお風呂に入ることができなかった
ヒゲも伸びていた
湯灌を断ったのは、金額のコトばかりでなく
どうやって？と思ったから
スペースの問題もあるけれど、葬儀屋さんは1人できていて
湯灌をお願いしたら、準備やら何やら絶対に時間がかかる
警察の現場検証も入ったりしたので
既に午後を過ぎていた
父の姿が寒々しくて
早く整えてあげたかった
大きなバケツにたっぷりの熱々のお湯
ボディーソープ
タオルを数本
体を温かいタオルで拭いた
生きていても『冷たいよ、寒いよ』と言わないように
手やお尻・足はオムツを何枚か敷いて洗った
ヒゲは弟が丁寧に剃ってくれた
不思議なことに
父がどんどん美しくなっていく
若返っていく
上手く言い表せないけれど……
父が苦しみや悲しみ…因果(カルマ)みたいなモノから解放されていくような感覚
開いたままになった口は、温かい蒸しタオルで口と顎を包み
顎関節を柔らかくほぐすと、しっかりと閉じた
死後硬直して固まってしまった腕や足は、優しく抱え込み
関節を緩めるように動かしながら伸ばしたら、素直に伸びた
手も…私の手で包み込み、指の関節をほぐしながら指を組ませた
父とはいろんな確執があった
私はこれっぽっちも可愛い娘ではなかった
私はずっと父を許せなかった
父が急に歳を取り始めたとき
それでも
父を理解しよう
父を許そう
父に向き合おう
少しずつ…ぶっきらぼうだったけど
おそらくこれっぽっちも父には伝わってなかったと思われる…それくらいぶっきらぼう
行動し始めた矢先の父の死
許されるものではないと思った
最後に私の化粧品で死化粧をした
整った父の姿を見て
母が泣いた
悲しくて泣いたのではなくて
嬉しくて泣いていた
『パパ…寝てるみたい』
『良かった』
『ありがとう』
母は何度も繰り返して言った
それを見ていた葬儀屋さんが
『な、何者ですか∑(OωO; )！？』
……………………
どうしようもなくへっぽこでダメな娘です……
結局親戚筋のおじさんが『ありゃ看護師だから…』と説明してくれた。
いやいや、葬儀屋さん私老健の施設で何度かお会いしてますがね…。
夜になり妹が東京から駆けつけた
『パパ…寝てるみたい…』
妹が静かに泣いた
なんとなく…父は妹には亡くなった直後のあの姿は見せたくなかったのだと感じた
次の日の朝
自分がまだ夢を見ているような感じがした
ベランダで洗濯物を干していると
背中に太陽の陽射しがあたっている感じはするけど
正直
頭がボーッとしていて
暖かいとか寒いとか
わからなかった
ふと
背中を撫でられた感覚と、父の若返ったような死に顔が目に浮かんできた
笑顔にも見えるその表情で
『大丈夫よ』
と、父の声が聞こえた気がした
父は私を許してくれたんだ
涙が出た
父は破天荒だったと思います
到底“理想の父”ではなかった
でも父は父なりに、方法はトンチンカンでも“父であろう”としていました
私は“へっぽこ”ですが
父もまた“へっぽこ”だったんです
“理想の…”なんてモノは、人それぞれ思っているモノが違っていて
“完璧”なんてモノは存在しない
“へっぽこ”な部分も全部ひっくるめて“父”
“へっぽこ”な部分も全部ひっくるめて“私”
存在するのかもわからない“完璧”を相手にも自分にも求め過ぎるのは
愛がなく厳しいことで
相手にも自分にも“許し”が存在しない
『大丈夫よ』
“へっぽこ”な相手にも自分にも、そう言って背中を撫でてあげられる
そんな人に私はなろう
長々お付き合い
ありがとうこざいました
ではでは
へっぽこママンより愛と感謝を込めて～