日にちが ぶっ飛びますが、先に本日のお芝居の事を。

6日目の昼の部は

【沓掛の時次郎】

中村錦之助(後の萬屋錦之助さん)バージョンで、感激していた映画を

タツミ版でと言う事で、いつか・・いつか・・・見たい!と

切望していたのが木馬館で叶いました。



お絹と子供の太郎坊、三蔵一家は、追手から逃げようとしていた。
わずかな荷物を持って、とにかく家族そろって暮らせれば何も要らないよ・・と
健気な女房。

だが、追手のヤクザ達が彼らを殺めようとやってくる。

丁度草鞋を脱いで、その組に居たのが沓掛時次郎(タツミさん)
助っ人なんて要らねえから、すっこんでいろ、見張りでもしてろ。と
三下達に言われて、鼻で笑った時次郎。


だが、乱入しても三蔵は腕が立つ。
アッと言う間に三下達を追い払った。
子供が感心する。


子分達は、時次郎に腕前を見せろといい、今度は時次郎が加わるが、
彼は、三蔵の家の戸を叩き、外へ出て来た三蔵に
きちんと仁義を切る。

三蔵も返す。
一騎打ちだと申し出て、闘うが時次郎の刃に三蔵は崩れ落ちる。
駆け寄った女房と子供も殺そうとする子分達の刃を払いのけて、時次郎は

「汚ねぇ真似をするな」と、連中を追い払う。


事切れる前に三蔵は、時次郎の人柄を信じて、自分の亡き後、女房・子供を
頼むと言い残す。
こうして、時次郎とお絹・太郎坊は共に
暮らす事になるのだが、もちろん 彼らは誰からも後ろ指を指されるような
関係にはならない。


ヤクザをやめて新内流しをしながら、日銭を稼ぐ二人。

♪ 小諸~出て見~りゃ・・・

と、歌うタツミ・時次郎。

途中で、ヤクザが
「おい、買ってやるから中へ入れ」
と呼び止めると


「いい所で止めてくれた。この後の歌詞を忘れて、どうしようかと思ってたんだ」

と笑いをとったタツミさんだが、

今は芝居の進行。


有名な映画作品なので、内容はご存知でしょうから、はしょりますが、


いやはや、タツミさんの芝居役者としての技量に改めて驚いた。

小龍さん演じるお絹の演技も素晴らしい。

これ、大衆演劇でいいのか?と、勿体なくてしょうがない。



一つ一つの演技が、丁寧な感情を見事に出して居て、セリフ一つで涙を誘う。
言い回しではない、その感情表現、身体表現が、とても芝居には見えないからだ。


小龍さんの踊りがドラマに見えるのは、こんな演技力のせいでもあろう。
そして、タツミさんの迫真の演技。
全力投球するから客にも伝わる。


一歩間に合わず、お絹が息を引き取る終盤。
その亡骸を抱き、涙する時次郎

もう、見て居てどうしようもなく引き込まれる。


しばらく上演しなかった演目だそうだが、

今回、見られた事を心から幸運だと思った。


本当に素晴らしい姉兄弟 小泉たつみ演劇BOX