お芝居 「恩愛夫婦傘」

好きな芝居の一つ。
と言うか、とっても好きな芝居なんです。
ゆかりちゃんと、若が演じる夫婦の絆・・・欧米にはない (きっとね)
日本独特の絆を感じる芝居。

それだけに、ものすごい演技力が要求される。
ひょい、ひょいと、台本通りにズラズラ読んでいる昨今のタレントたちには
何度、テイクをだしても出来ないだろうな~

そう考えると、この大衆演劇と言う世界に居る、(まぁ、トップランクの劇団だが)
役者たちは、すごい。
それこそ、ダメな役者は煮ても焼いても食えん。なんせ、毎日が「生」なんだから。

え?その生じゃないってか?


町にはびこっている悪い鉄壁組の親分が横恋慕している 町娘を
二階にかくまっている,魚屋の夫婦。


町娘を入団1年5か月の、ランカちゃんが演じている。
この子、とても日の浅い団員とは思えない、すごい子だ~!
よく通る、きれいな声をしていて、・・・声だけ聴いていると
宝塚の舞台が、頭に浮かぶ。


この声で
「オスカルさま! 私の気持ちに応えてはくださらないのですか・・・」
なんて、言ったらイケルぜ~!って
感じだ。

それに姿勢が優雅だし、笑顔が上品で良いわ~
すごくいい!


で、脱線したが、
魚屋の伊太郎は、元はやくざ。


アキラ君扮する鉄壁の親分とのやり取りが、非常に愉快だ。
アドリブに応えるの大変ですね~、若ちゃんに対応するんだもの、アッハッハ。


そこで、もめて親分をバッサリ殺っちゃった伊太郎。


子分共が押しかけて来たので、町娘に会いに来ていた恋仲の男も含め
4人が逃げるのだが・・・
娘と、伊太郎、そして女房のお島と、
町娘の恋人と言う、逆の組み合わせで逃げる。


そして、1年後


おしまと、星矢扮する若い(町娘の恋人)は、ある旅籠で働いていたが、
何と、ここは鉄壁の親分の弟が経営している。
そして、酔った勢いで、お島と若者は、一夜の過ちを犯していた。たった一度だけなれど
若者は、愛する女をかくまってくれていた伊太郎の女房と・・・と言う事が
自分でどうしても許せず、お島に詫び続ける。


あれは、お互いに忘れよう・・と言うお島。
所が、そんな旅籠に、伊太郎と、若者の恋人が、たどり着く・・・・


(剛演じる、鉄壁親分の弟と伊太郎の立ち回りシーンが
 ここに入るが、すいません。略します)



見せ場は、何と言ってもラスト近くの
伊太郎夫婦の、腹の中での思い。複雑な思いを・・・

若ちゃんと、ゆかりんが、見事に演じて見せる。



これは究極の古き日本の夫婦の深い絆以外の何物でもない。

欧米では、頻繁にダーリン、愛しているよ~と、
花を送り、抱き合って、ベタベタ・・・

ちょっとしたことで、じゃ~ね~バイバイ・・と別れる。

そんなのとは、正反対。




互いに沈黙のまま。


恋しい女房が、過ちを犯したことへの複雑な思いと、それでも許したい、許していいのか
と言った感情が入り混じって、どうしようもない、伊太郎と、


一緒に居た時は、粗末に扱っていた(?)いや、当たり前に、慣れ切った扱いをしていた亭主を
実は、こんなにも自分は慕っていたんだと、気付いたお島が、
一夜を別の男と犯してしまった うしろめたさ。


ここで捨てられても仕方がない・・・
何も言い訳なんて出来ない・・・
でも、でも・・・
出来るなら・・
イヤ、もう一度一緒に・・
どうかわたしを許して・・・

連れて行って、もう一度・・・

こんな思いの女房。

このやり取りが、無言のまま、びしょ濡れになった着物を
絞る、渡す・・・受け取った伊太郎。しかし、離さない女房・・・

この辺が、絶妙だ!

ゆかりちゃん迫真の演技に、若ちゃんの表情の小さな動き一つ一つに
感情の動きが表れる。

なんて、すごい人たち!

芝居に思わず涙が出るが、若丸とゆかりの演技に、感動する事しきり!!





大満足の日となりました(^◇^)