no rain,no rainbow
ずっと前からわかってた。
わかっているつもりだった。
みんなみたいにはなれない と。
超えてはいけない境界線が
忘れてはいけない壁が
みんなと私の間にはあるってこと。
昔から先生によく言われるの。
まゆちゃんは 色んな子と
仲良いよね。 って。
確かに グループにはいったり
特定の子と深く仲良くすることは
極端に避けてきた。
でもそれは、たくさんの
友達を作りたい訳じゃなくて、
私が色んな事から逃げてきた
結果だったんだよ。
誰かとべったり仲良くして、
もしその子に嫌われたら。
ある日突然 仲が悪くなったら。
それに耐えられる強さを
私は持ち合わせていないから。
仲良くしているように
見せかけて、みんな表面的な関係。
本当に苦しいとき、
話を聞いてくれる人は
一人もいない。
一緒に登下校する子も
いなければ、積極的に
声をかけてくる子もいない。
色々な子と仲良くできる
ってことは、理想的に見えて
実は1番 残酷なのかもしれないね。
辛い時、
誰かに話を聞いて欲しい時、
誰が聞いてくれますか。
聞いて欲しいと思うことは、
ワガママですか。
ねぇ、先生。
どうしてあのとき、
先生が話を聞いてくれる
ありがたさに、
気づくことができなかったのかな。
先生に会えなくなってから、
もう少しで4年が経つね。
先生はまだ、まゆのこと
おぼえてますか?
あいたいなぁ。
=まゆ=
見てしまったよ。
当たり前 を感じてしまったよ。
指定校推薦の合格発表が
続々とされている学校。
ちょうど保健室で
休んでたら、続々と
合格の報告をしに来る子たち。
先生に優しい言葉をかけられて、
友達同士、喜び合って。
ついでに親に電話して、
嬉しい報告をしている子たち。
親子の会話って、
そんなに楽しいものなんだね。
まゆにはわからない世界。
どう頑張ったって、
どれほど嘆いたって、
掴み取れない夢。
込み上げてくる羨ましさが
笑顔を作ることを邪魔するの。
俯いて、ぎゅっと口を結んだまゆに
まゆちゃん、どうした?
何か言いたげなお口してるけど。
先生、聞こうか?
そうやって、
優しく問うてくれる保健の先生。
でもね、
優しい保健の先生までも、
親と普通に会話して育ってきたんだ
って思うと、
羨ましさの対象に変わってしまう。
わかってたんだけどね。
これでいいんだって
言い聞かせてきたんだけどね。
いざ、直面すると
羨ましさでいっぱいになる。
どれほど手を伸ばしても
もう掴めないって
嫌ほどわかっているのに。
ひととかかわることが
つらくなったよ。
だれかとおはなしすることが
くるしくなったよ。
おかねでかえない あたりまえ。
ねぇさんたさん。
まゆ、いいこにしてるから
ことしのくりすますには
あたりまえ をください。
おべんきょう、がんばるから
おとうさんとふつうに
はなせるまほうをかけてください。
=まゆ=
頑張ろう と決意すれば
いつもそう。
いつもどこかから
何かがふりかかって。
行く手を阻んでしまう。
負けたくないと
どんなにもがいても
負けてしまいそうになる。
誰かに話せばきっと、
今の状況を客観視してしまうから。
普通 じゃないことに
気づいてしまうから。
いまはまだ、
ゆめのなかにいたい。
大丈夫だよ。
そう言ったのは、
相手を安心させるためより
自分に言い聞かせるため
だったのかもしれない。
大丈夫だよ。
そう言うことで
今の日常を正当化
しようとしてたのかもしれない。
でも でもね
誰にも理解されないより
そっちのほうがよっぽど
ましだよ。
=まゆ=

