先日、スイスに出張した友人が帰国しました。スイスに行ったついでにリヒテンシュタインにも寄ってきたと聞いて、僕も10数年前に一度食事に行った事を思い出し、とても懐かしくなりました。皆さんはリヒテンシュタイン公国ってご存知ですか。スイスとオーストリアに国境を接する小さな国で、南北25km、東西6km。日本の小豆島とほぼ同じ面積、人口は35,000人で面積は東京23区の4分の1ほどしか有りませんが、立派な立憲君主制の独立国です。国王はリヒテンシュタイン家の世襲制で、君主は強大な政治権力を持ち、ヨーロッパ最後の絶対君主制の国とも呼ばれています。近年、政治的には立憲政治・法治政治が確立されており、直接選挙による国会もあり、議員定数は25人で、議院内閣制を取っており、首相は議会第1党の党首がなり、副首相は野党の党首が就任する事になっているそうです。永世中立国として非武装中立を宣言し、軍事力は保持しておりません。国の防衛は協定の元にスイスが受け持っております。治安を維持するのはわずか100人ほどの警察官が担っております。
ケニーのブログ
市内の写真を見てお分かりのように、静かな田舎町のような、おもちゃの様な国ですよね。主な産業は精密機械、牧畜、医療、金融、観光そして記念切手の発行です。タックスヘイブンの国としても有名で、税金逃れにリヒテンシュタインに便宜上の本社を置く外国企業がたくさん有り、それらの企業から徴収する法人税が税収の40%を占め、国民は直接税(所得税、相続税、贈与税)を負担する必要がありません。国の人口よりも法人数が多いという珍しい国です。

君主のリヒテンシュタイン家はヨーロッパ有数の金持ちで、税金から君主家の歳費を一切取らず、君主家の賄いは全て自前の収入で賄えて余りある金持ちです。税金が要らないって、本当にうらやましい国民ですよね。国民から直接税を取らない君主家ですから、未だに絶大な政治権力を保持しても、誰も文句を言わないという訳です。

元々、リヒテンシュタイン家はハプスブルグ家の重臣で、代々ハプスブルグ家の要職を勤める内に、莫大な財産を築いたと言われています。その財産で、1699年に当時の当主ヨハン・アダム・アンドレアス候がシェレンベルグ男爵の領地を買収、更に1712年にファドゥーツ伯爵の領地を買収してリヒテンシュタイン侯爵の領地としたのが、この国の始まりです。1806年に神聖ローマ帝国が崩壊した時に、初めて独立国となりました。

国内の公共交通はバスしかありません。公用語はドイツ語です。現在のリヒテンシュタイン家の当主はハンス・アダム2世、リヒテンシュタイン銀行のオーナーとして有名です。最近、日本の某大学の理事長の隠し預金がリヒテンシュタインのプライベート銀行に有ったのが発覚して騒ぎになりましたよね。

そんなのどかな国、リヒテンシュタイン公国、又行ってみたくなりました。

では、又。次のお話をお楽しみに。