皆さん、ご無沙汰をしておりました。前回にお話をした通り、6月7日から6月12日までの1週間にわたってベトナムを訪問しておりました。その後直ぐに大阪、鹿児島、新潟と出張が続いて、今日は長崎に来ています。ベトナムではハノイ市、ホーチミン市、ブンタオ市とベトナム国内を北から南まで縦断する約3,200kmの旅でした。何回かに分けて現在のベトナムの姿を皆さんに紹介したいと思います。ご存知のようにベトナムの正式国名は「ベトナム社会主義共和国」、つまり政治体制は共産党の一党支配による社会主義体制の国です。しかし1986年から始まった「ドイモイ」と呼ばれる改革開放路線によって、経済体制は西側の資本主義をかなり取り入れて、驚くほど自由化しております。そこで例によってベトナムと言う国の歴史を少し振り返ってみましょう。僕の世界の街の紹介で必ずその街の歴史の話をするのは、その街の成り立ってきた歴史を知らないと、本当の意味でその街を知る事が出来ないからです。少し我慢して聞いてください。まずハノイ市ですが、下の写真のように今でも余り高層ビルが林立する近代都市という景観ではありません。街のあちこちでビルの建設工事現場を見かけますから、いずれ街中に高層ビルが増えていくのでしょうが、現在は2~3階建ての建物が主流の、何となくあまり威圧感を感じない街です。
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上の写真と下の写真は、ハノイ市内の中心部にあるホテル日航ハノイの11階の部屋の窓から写したものです。平面的な街ですよね。
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ハノイ市は漢字で書くと「河内」と書きます。字の如く紅河デルタ地帯の内側と言う意味で、市内には紅河のデルタによって生まれた湖がいくつも散在し、有名なホアンキエム湖の周辺は市民の憩いの場となっています。ハノイに行く場合の国際線の空港は、市内から45kmほど北に位置するノイバイ空港が空の玄関になります。使われる通貨は「ドン」ですが、これは昔中国の支配下にあった時代に使われていた銅銭が「ドンティエン」と呼ばれていた事に由来するそうです。ベトナムは秦の始皇帝時代から1,000年以上にわたって中国王朝の支配下にあり、中国文化が浸透しました。従ってベトナム料理は中華料理の影響を受けているなと思われるものがたくさんあります。しかしながら辛抱強いベトナム人は、完全に中国化はせずにベトナム独自の文化をたくさん生み出しています。中国の唐代にはハノイに安南都護符がおかれ、雲南と南シナ海の交易の中心都市として栄え、唐の南方支配の拠点となっておりました。日本の遣唐使や遣隋使も当時のベトナムに漂流したケースが数々あって、遣唐使阿倍仲麻呂は761年~767年まで6年間もハノイの安南都護符に滞在してから帰国したと言う記録が残っています。江戸時代には朱印船が日本から交易に訪れ、ホイアン市には日本人町も形成されていたそうです。1887年にフランスが進出して、ベトナムはフランスの植民地にされてしまいます。ハノイ市内にはフランス植民地時代の建物も多く残っていて、それがお洒落な雰囲気で街の景観を創っています。下の写真はハノイ市役所を訪れた時のものですが、手前の建物が植民地時代の雰囲気を表していて、奥に見える現代風のビルとは景観が全く違います。
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1940年には日本軍がベトナムに進駐、1945年にベトナムをフランスから独立させるのですが、直ぐに日本は敗戦して、再びフランスが進駐します。独立を願うベトナムの国民はホーチミン将軍のもとに結集し、フランス軍との間で第1次インドシナ戦争が始まります。この戦争には旧日本軍の将兵が多数加わってベトナム軍とともにフランスと戦ったと言われております。1954年にフランス軍は敗退し、ジュネーブ協定でベトナムは北緯17度線で南北に分断された分断国家となってしまいます。1960年に南ベトナムに通称ベトコンと呼ばれた南ベトナム解放民族戦線が結成され、今度は南ベトナム政府軍とそれを支援するアメリカ軍との間で永いベトナム戦争が始まります。このベトコンの活動を支援する北ベトナム軍も戦争に加わり、およそ16年戦い続けて、ついに1975年当時の南ベトナムの首都サイゴンが陥落し、悲願の南北統一を実現させます。世界最強の軍隊と言われるアメリカ軍と戦って唯一勝った国が現在のベトナムです。私はベトナムの人に話をする時に、勇猛果敢な日本軍でさえもアメリカ軍には勝てなかった。そのアメリカに勝った国がベトナムなんだから誇りに思って良いのですよと言って来ました。
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上の写真もフランス植民地時代のフランス総督の建物だそうです。

とにかくベトナム人は勤勉で粘り強い。ベトナム戦争後もカンボジア紛争、中越戦争と相次ぐ戦いに疲弊をしましたが、この国が数々の戦争の痛手から立ち直り、本当に成長をしだしたら、軟弱な若者の多い日本は、経済で負けてしまうのでは無いかと思います。
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上の写真はハノイ市役所前に立つ、李王朝時代の皇帝の銅像です。建国の父と言われるホーチミン将軍の銅像はベトナム各地にありますが、王朝時代の皇帝の像は珍しかったので紹介しました。

さて、次はもう少しベトナム庶民の生活をお伝えしましょう。

ではまた次回をお楽しみに。