私の親友の一人に、私とは親子ほど歳が違う、80歳になるアメリカ人がいます。彼の名前はBarney Phillips、私とは30年近くの付き合いになります。その彼が、今年の新年はマニラで過ごし、帰米の途中で私に会いに日本に立ち寄りました。成田に着いたときには発熱をしており、風邪を引いたかなとと言う程度だったのですが、3日ほど東京に滞在し、ロスに帰着したら、2時間後に容態が悪化し救急車で搬送されて緊急入院したそうです。それから10日間ほど病院で重態状態で、一度は本気で「死」を考えたそうです。両肺に重度の肺炎を起こしていたそうで、生死の境目をさまよっていたようですが、幸運にも回復し、先日退院をしたとの連絡がありました。彼の凄いところは、80歳になっても現役で、常に人生に前向きなところです。昨年は全米シニア陸上大会に出場し、走り幅跳びで金メダル、100m走で銀メダルを取りました。
彼は10年前に心臓の大手術をして、心臓は5本のチューブで繋がれているんですよ。そんな彼からの退院の報告のメールには、次のビジネスのスケジュールがびっしりと書き込まれているんです。私は返信メールに、体調が万全になるまでは静養して、仕事のことはしばらく忘れろと伝えたのですが、全く聞く耳は持たず、もう走り出しています。
アメリカ人の特質は、やはりフロンティアスピリットにあります。どんな困難が有っても、自分の力で切り抜けようとする強さです。西部開拓時代に未開の荒野を目指して進んだDNAが、どこかに残っています。
先日のハドソン川に旅客機が不時着した事件でも、乗客はパニックを起こさず、まず子供・女性・老人を脱出させ、機長は最後に2度も機内を点検してから脱出したと聞いて、アメリカ人の危機に当たっての強靭さを痛感しました。
国の歴史が浅く、多民族国家のアメリカは、この国は自分たちが作ったんだと言う誇りが、国民のアイデンティティーになっています。だからいざとなると非常に強い結束力を発揮します。普段あまり国家を意識しない我々日本人とは、国家に対する意識がかなり違います。先日のオバマ大統領の就任式でも、全米から多くの人達がワシントンに集結し、お祭り騒ぎでしたが、日本では総理大臣が新しく就任しても、それを祝い、新しい政治に期待するお祭りは有りません。
日本でも今度総理大臣が代わったら、アメリカ並みにパレードでもやって、大きなイベントでもやったらどうでしょうか。派閥争いや、政権奪取に躍起となる、ドロドロとした戦いを見せるより、未来に期待するお祭り騒ぎでも見せてもらった方が、国民のモチベーションは上がるような気がするのですが。