紫式部と藤原道長の愛憎物語 『源氏物語 千年の謎』レビュー
思った以上の出来だった。キャスティングが役にぴったりハマっていることが大きい。話が進めば進むほど“光源氏の空想の世界”と“紫式部の現実の世界”の判別に惑わされてしまう構成もいい。豪華な十二単や平安神宮の朱が鮮やかで、セットとCGの融合も綺麗だ。しかも邦画で、登場人物が多い古典を素材にした割には説明っぽさがない。いちいち人名などの字幕が入らないのもいい。さぞ、『源氏物語』を知らない人は頭をフル回転していただろう。源氏を演じる生田斗真は見た目といい動きといい申し分ない。真木よう子や田中麗奈といった女優陣も適材適所の演技で文句なしでは有る。それでもこの映画、情熱を内に閉じ込めた中谷美紀と、冷ややかな策謀家と化す東山紀之によって、式部の情念が物語のなかに根を這っていく様がひしひしと語られ、このふたりが物語の芯を押さえて離さない。私には、「してやったり」と監督の思う心が見て取れる。つまり、この作品の真の主人公は中谷美紀・紫式部と東山紀之・菅原道長といえる。そして真のラストは、式部が道長邸を訪ね、旅立ちの別れをするシーンだ。現に、音楽もあの場面を高らかに飾っている。最後までお読み頂き有難うございました。 源氏物語 千年の謎 Blu-ray豪華版(特典DVD付2枚組) 7,236円 Amazon 源氏物語 千年の謎 通常版 [DVD] 4,104円 Amazon