付き合ってまだ2ヶ月ごろに
迎えたクリスマスイベントだったかな


やたら世間はイルミネーションだの
クリスマスプレゼントだので
騒がしくなっていた時

俺はこたつでみかんを食べながら
迎えるクリスマスを夢だと話したこともあった。


それは、イルミネーションだとか
夜景だとか金や時間がかかる上に
人混みと寒さが確実なものだと
勉強したから他なかった。


それとは別に俺は温泉が
ものすごく好きで、露天の
あの隔離された異次元空間の中の
開放感と高揚感、湯立つけむりで
人眼鏡がくもり、自然の理を現代にまで
半永久的に続けてこられたとされる音や匂い

すべてが癒しだと感じている。
そこに、心許せる人がいたら尚更のこと。
しかし、絶対に語る必要もないのだ。
ただ、ひたすら浸かり、天を見上げる。
時折、肩まで浸かったり、半身浴にしたり。

話が逸脱しすぎてしまったが。

その一昨年になるクリスマスに
美紅と箱根旅行に行ったのも
つい最近の出来事のように感じていたが

何日か前に、2度目の箱根旅行に2人でいったのだ。


1度目の時は、電車、ロマンスカーにのって
現地でレンタカーを借り、そこから拠点にし
ドライブをしたが、今回は最初から車で
箱根まで足を運んだ。


個人的に箱根は何度も行っているが
飽きない。それがなぜかは明確な理由が
わかっているわけではない。

俺にはトラウマに近いような
でも、それとは反対の意味を持つ
幸福さや、愛おしさを感じた体験があった。

それはその時、箱根湯本富士屋ホテルという宿でのことだった。

これも明確な理由はわからないが

なにかの話の流れだったのだろうか
話が区切れた時、美紅を眺めていると
美紅の目から涙が自然に流れ落ちた。


これは、ある意味、トラウマだ。
こんなことがあるのだろうか。
俺自身、女の子を泣かせる時は
よっぽどの理由がない限り
絶対にいけないという概念を
持論としてる俺が初めてやってしまった、
泣かせてしまったと実感した瞬間だった。

泣かせてしまったのは事実。
だが、なにをした?なにをしでかした?
そんな自問自答をする余裕は時間にして
およそ10秒もなかっただろう。
今思えば、泣いている美紅に驚き
すぐに悟ったのだろう。

この涙には、憎悪の類い関連するもの感情が
一切なく、むしろその逆で、優しさ、温もり。
その涙はそんな包み込まれるような雰囲気を
一瞬にして作り出したのだ。

あとは簡単というより、
自分を身をまかせるだけだった。
優しく包み込むこと以外必要はない。
これにつきたような気がする。

言葉にはできないが、説明も難しいが
おそらくお互いには理解した。

その感覚はその日から、数日間
余韻に浸ることを容易に可能にした。


そんな出来事から、早くも一年以上も過ぎて
数日前に行った箱根旅行は、序盤から
本当に幸せなものだった。

美紅はまるで天使のようだ。
この俺をいとも簡単に夢中にさせる。
そして、彼女は何に変えても失ってはならない。
彼女の幸せを俺が作ってあげなければならない。

いつもそう確信しているが、
会うたび覚悟をさらに強くさせられる気がする。

俺のくだらない話や
くだらないボケにのってくれて
わらってくれて、信じてくれる。

俺は彼女を見ていると
心が洗われているような感覚になる。

彼女はまさしく天使だと、
くどいようだが、思わされる初日であった。


問題は2日目の朝だ。
エアコンの風が直接当たったのか
信じられないほどの喉の痛みと共に
目が覚めた。俺にはわかった、これが
人並みの風邪のような症状ではないことを。

そして、起き上がると同時に
身体が重く、骨が痛むことも理解した。

その上で、どーやって美紅を楽しませようか
必死に考えていた。

それが、最大の甘さだった。
起きてから時間が経つにつれて
熱が急速に上がっているのがわかった。
さらに骨の痛みが増していくことや、
呼吸が変になっていくことも。

美紅はそんな様子な俺を見て
帰ろうといった。

俺が、楽しませるわけでもなく
我慢するわけでもなく
美紅は楽しめるわけでもなく
美紅にとっては損でしかない

なのに「帰ろう。」

きっと周りから見れば、
美紅が連れ回したのが悪いとか
そーゆー意見もでてくるだろう。

だけど、違うんだ。
今回は俺がわがままを言って
美紅とデートを続けたんだ。


美紅は何度も俺を心配した
何度も、休もう、大丈夫?
少しねる?無理しないで
数なんて数えてられない、
何度も何度もそーいって
自分だけ楽しもうとはせずに
俺に気を配ってくれた。


俺は我慢していたが
どうやら一度休憩してしまったのが
アダとなったようだ。

起きると俺の意識は朦朧としていて
呼吸をすることがものすごく大変だった。

また熱によって身体中のリンパ管が
緊急サイレン警報をだしていて
もう手遅れのようなものだった。


あの時の美紅の残念そうな顔を
俺はどーしても忘れられない。

帰りは私が運転するからといってくれた美紅には
下道で帰ることを勧め道案内をすることを選択した。


どのくらいたったのだろうか
ここ最近の出来事なのに
あまり覚えていないが
高熱でうなされたのか
ふとした時に運転する美紅の横顔が
ビショビショになっていた。


理由を聞いても大丈夫の一点張りで
怖かった。俺がまた箱根旅行で同じことを。
だが、今回はどんな理由なのかということも
その涙を拭うためにティッシュを取ってあげることも、俺の身体はいうことをきかず、してやることすらできなかったのだ。



相当苦しんで喚き、迷惑をかけたようだ。
ただでさえ、都内を横断する運転に慣れていない美紅に運転を任せておきながら、常に鳴る警報音のように聞こえたのだろう。
責任はなにもないのに、美紅の人間性の良さと性格上、責任を感じまで自分の中にある不安と恐怖が彼女を追いつめていたのだろう。

よく考えればわかることだった。
その旨や俺がいけなかったということは。

なのに考えることができなかった状況にいた俺は 聞くこととただ謝ることしかできなかった。


夜間の医者も探し、病状も伝えてもらい
俺は無事、夜間診療所で点滴を打つことで
応急処置してもらった。
そこで初めて熱を測ったが39,6という高熱で
身体が追いつけず、脱水症になっているということだったそうだ。


そして、俺たちの箱根旅行は終わった。
今考えると1日目が幸せなら
2日目は辛く、不幸なようなものだった。

だが俺にそんなこと言う権利や資格はない。
逆に美紅に看病してもらい、手を尽くしてもらった上に、見捨てられなかっただけでも
幸福以外のなにものでもないからだ。


翌日、かかりつけの医者には
B型インフルエンザという判決を受けた。


美紅にはうつってる可能性が非常に高く
旅行は終わっても、俺の責任は終わらない。


大げさかもしれないけど
大げさじゃないと俺は思う。
あの時の辛さは俺しかわからないから。


命を救われたんだと。




美紅は俺の命に誓って守ると誓うことは
俺にとっての本望であり覚悟であり

義務に変わったんだ。


さらに恥をかかされたよ。

お礼がしたいから何でもいって
できることならなんでもする

なにがほしい?なにが食べたい?




お金のかかるものはいらないよ?
その代わりの約束。

嘘はもうつかないこと。
それから風俗にはいかないで。



もう、残念ながらこれ以上のことばは
みつからないよ。







彼女は俺の本物の天使だってこと。







生涯かけて守る。