いま、3巻と4巻の感想を投稿してないことに気づいて若干あせっていますが。


羽海野チカ『3月のライオン』(白泉社)、新刊、この破壊力はいったい!!


できるだけネタバレは避けたいんですが、それでもね? モモちゃんの発言に大爆笑していたあとにあのひなちゃんのシーンが来ますとね、ジェットコースターのように感情が揺さぶられてしまいますよ。ハチクロの感じからいって羽海野先生は「細部のニュアンスはそのときそのときの状況で変わりうるけど、最終話までの漫画全体の流れは最初から俯瞰できてる」作り方をなさる方で、つまりきっとあの群馬の事件があったから効果を計算してこのエピソードを急遽ねじこんだなんてことはないはずですし日程的にありえない気がしますが、もう……ひどく泣いてしまう(しかし群馬が氷山の一角であり、ずっと「そういう現象」が起こってきたこと、それを見聞きして知っている人が大半であることに愕然とします)。


見えてるのに見ない、のは、残酷を通り越して具体的に罪。


ひなちゃんの悲痛なまでの気高さと、後藤さんの空気を凍らせる義憤。どちらも「他者をさげすむことで相対的に自分の優位を確認したい浅はかさ」への抵抗であることに違いはないのに、後藤さんはひと言で道理を通してしまえる。ひなちゃんは客観的にどこまでも正しくありながら、苦戦を強いられる(野球部のあの子が黙ってないだろうとは思うけど)。


幼稚園で大好きだった先生が私の卒園後お嬢さんに恵まれたそうなのですが、その子の名前がひなたちゃん。私情たっぷりですけれども、だからひなちゃんには温かい陽だまりにたどり着いてもらいたいのです。


ふと気づきましたが私あんまり二次元と三次元を区別して考えてない、だって虚実にかかわらずどちらも「私以外」の他者だもの。距離は同じ。