しかし私、キコさんが家族愛の歌を堂々と披露できるのとてもうらやましいと言っていますが、振り返れば母に「お姉ちゃんなんだから我慢しなさい」なんて制限されたことは一度もないのです。


よく聞くでしょう。おにいちゃんなんだからとか、でそれに対して悔しくて「好きで先に生まれたんじゃない!」とか。


バリエーションなのか「まあ、このこは赤ちゃんだからしょうがないのよ」とイタズラを許すように誘導された覚えはありますけれども。でも、決して「姉なんだから」を切り札には、使われなかった。女の子のくせに、とも母はいいませんでしたね。父は無神経なのでいくらでもそうやって性別を理由に人をこきつかえると信じているふしがありますが。私がそのつど激しく反発するのを見て、弟たちは父のあしらい方を反面教師的に学んだようです(苦笑)。


なんでわかってくれないのと苛立つことも多々ありますが、それは減点法で母を見ているからで。落ちついて考えてみればとても気を遣って私を育ててくれたし今も大事にしてくれているのだなと。


照れますね。


でも気づかせてくれたキコさん、本当にありがとうございます。


最近ようやく知ったことなのですが、弟が生まれたとき母は眠っている私の枕もとで毎晩「ママはね、リンゴちゃんのことが世界でいっちばん、だぁいすきなのよ」とささやいていたそうです。さらに、私が小学校に上がった年の運動会で1年生のダンス(っていうか、お遊戯?)を見ながら感涙したそうです。こんなに大きくなって、と。入学直前に下の弟が生まれたのでそのころって生後半年の乳児のあれやこれやで大変だったに違いないのに、それで長女や長男のための愛情が削減されるような運びにはならなくて、同時進行でずっと見守ってくれていて。


私を愛してくれたあなた


いつか「母と娘のうた」あるいは「母の娘のうた」を……


……ところで私もうじき母が私を産んだ年齢を超えるんですけど!!