長いこと探していましたドゥ・ダ・ダンシンがようやく揃い、一気読みというこのうえない幸福を味わいました。槇村さとるさんの漫画は初めてでしたが、絵がきれいでところどころ可愛らしいのと、やはりストーリーというか、情熱に衝き動かされてずんずん読んでしまえて楽しかったです。


主人公・桜庭鯛子は22歳、4歳でバレエを始め14歳のころにはトップを狙える有望なダンサーと認められていたのに、ローザンヌ直前の母の事故死により「楽しく本気で踊る」ということができなくなって、でも他の道もないからぼんやり踊っている。その鯛子が公演を控えたある日、スターダンサーである三上と出会い……。


再出発を図る鯛子に事情を知る周囲はとても温かいけれど、だからそれで充分なのかもしれないけど、冴子先生に誤解されたくないとか、少なくともプリマ桐生綾子の母親が干渉してきたことは言っておけばよかったのに(それが直接の原因ではないと添えればいい話であってさ)。9巻で高慢ちきな倉田真理が冴子先生と飛行場にいる、あのシーンが今後『ヴェネチア国際編』に響いてくるんだとしたら歯がゆいな。あと! 倉田真理は好きになれないから登場しなくていいんですが桐生さん! もっと桐生さんの話を読みたいです!


しかしまあそれはそれとして、バレエで名高い『ジゼル』や『白鳥の湖』の物語、小さいときにジゼルはピアノの先生が本を貸して下さって読んだ記憶があるのですが内容をさっぱり忘れていたので、今回さらりと説明があって助かりました。ジゼルの本物を観たくなりました。