南Q太『ぼくの家族』(集英社)


子連れ再婚どうしの両親、同い年の娘2人。父「ノブ君」の娘「サリナ」は気難しく、偏食で、イラストレーターの母はあれこれ気を遣っている。だから「ぼく」であるところの「広海」はぱっと見おとなしく、やさしく、手のかからない子。だった。けど。


終盤までサリナが気に入らなくて(しかも容姿があんまり可愛くないので全然いいとこないキャラクターに見えた)、でも最後の最後で大逆転! 広海とサリナはべつに対立する「模範」「問題」ではなくて、それぞれがマーブル模様のようにいろんな要素を含んでいて、表面こそ違えど本質はそっくりだったのかも。敷衍しすぎかもしれないけれどもしかしたらこの2人に限らず、ひとってわりとみんな似たりよったりなのかも。……さすがにそれは言いすぎかな。


でも広海の一人称が「ぼく」であることからなんとなく広海=中性のイメージがあって、女の子だからとかそういうくくりでなく、生命の或るかたちとして物語を受けとることになって(少なくとも私は)。とても新鮮な感覚で、印象的でした。


今まで「南Q太? 枡野さんが離婚された女性ね」という認識しかなかったのですが、そうかーこういう作品を描くかただったのかー。読めてよかったです。