新年を迎えて最初に観たDVDは南Q太原作の『さよならみどりちゃん』でした。南Q太って「枡野浩一と離婚したひと」としか知らないのですが(そして枡野さんがいつもいつもいつも「子供に会いたい」と書いているせいで枡野さんによっぽど信用がないか南さんがむっちゃくちゃ怒ってるか、とにかく心が離れちゃったふたりなんだろうなあ、とぼんやり思っていました)、さよならみどりちゃんに関してだけいえば……まどろっこしい!って感じでした。


以下、ネタバレを含みますのでこれからご覧になるかたはご注意下さい。


主人公ゆうこはユタカに想いを寄せていて、ユタカもそれを受け入れて一見ふつうの恋人みたいな関係になるのだけどユタカには「ちゃんとした彼女」がいるという。ゆうこがけだるい感じで「なんていうのー? 彼女の名前」と訊くと悪びれもせず「みどり」と答えて、ゆうこはなんでもない顔をして「みどりちゃんか……」とつぶやく。


でもねー……どこがどうっていうんじゃないので伝わりにくいかもしれませんがユタカはちゃらんぽらんだしゆうこも流され流されで生きてる感じで、はたして本当にユタカのこと好きだったのか(彼がみどりちゃんと乗りこんじゃったタクシーをサンダルで追っかけるほど)? ゆうこ、あーた自我っていうか誇りっていうか、こう、なりふりかまう気ないの? とうまく感情移入できなくて。


終盤でユタカになし崩し的に始めさせられたスナックのバイトを「辞めたい」と初めてきっぱり言うあたりは彼女の新しい生き方が開けていくのかなと期待させたのだけど、気づいたらそのスナックでずっと嫌がってたカラオケを予想通りの調子っぱずれな歌い方でなんだか楽しそうに歌っちゃってるし、その歌がまた「つぎの夜から欠けていく満月より私は十四番目の月が好き」と、つまり満たされないままで私は満足なんだと解釈できちゃう、「そんなこと言って、あなた自分が十四番目の月だと思ってるの? 明日は満月だと? そんなに足りてる?」とねちねち問い詰めたくなるような歌で。


いろいろ検索したら「好きなのに同じほどには好きになってもらえない心模様を繊細に描いた傑作」みたいに肯定的な評価が多くて、まあ偉そうに言ってる私だって満月どころか十四番目の月ですらないのだからゆうこの生き方をあれこれけなせるような高みにはいないので、間をとって「自分にできないような生き方をしててだらしないゆうこたちへの羨望が混じった嫌悪感なのかも」と(間とったのか??)結論づけることにしようかと思いますが。


とりあえずお正月からけっこうな衝撃ではありました。