いついっても貸出中だった作品、ようやく借りられたと思ったらなんだか肩すかしをくらったような……ようするに良さがあんまりわかりませんでした。


60年代だったか、アメリカの精神病院が舞台。マクマーフィは刑事罰に処され農場で労働しなければならないところを暴れたりなんだりでぜんぜん働かないので「精神に何か問題があるのでは、もしくは精神異常を装って労働から逃れようとしているのでは」とこの病院に送致されました。で、惹句では「そこでは婦長の独裁によって患者たちが不当に萎縮させられていた」みたいなこと書いてあったんですが、いやー、婦長は患者の治療のためによかれと思ってあれこれ発言しているんじゃないかと。べつに不当性は見当たらないんじゃないかと。


とりあえずマクマーフィは持ち前の自己主張の激しさをもって婦長に反発するわけですが、彼のキャラクターゆえか、それはますます婦長がまっとうであることを印象づけるにとどまり、むしろ精神異常とか関係なくなんだかどこにでもいる人間同士のいがみ合いを思わせました。


ただ、可能性としてタイトルとからめて考えているのは、主人公はじつはマクマーフィじゃなくて、同じ病棟で「口のきけないインディアン」という位置についてひとり黙っている大男のチーフだったのかなということ。カッコーの巣って見たことないんですが、確かカッコーってよその鳥の巣に託卵して、孵った雛はよその鳥の卵を巣から落として自分だけ育ててもらうんですよね。つまり……チーフが、マクマーフィの登場、そして彼との交流によって次のステップに進むというのが、この映画の柱なのかしらと。思ったわけです。


大きな賞ももらっている作品らしいので、ご覧になったかたもおいでかもしれません。ご意見など、聞かせていただけると嬉しいです。