運命! 長浜幸子さんの漫画『名前はとうに失われた』全2巻(集英社)を読みました。


アンティークの香水瓶を視点人物に定め、耽美的、人間の心のひだに敏感、でも決してあざとくならず軽さも演出した作品です。移ろう心は時に哀しく、時に毅然として香水瓶の前にさらされます。そしてその香水瓶自身も、対でつくられた香水瓶を恋いながら持ち主の切ない気持ちに寄りそうのです。パーフェクト。『観用少女』(→感想 )を読んだときも何か美しい雨がさっと過ぎていったような感覚をおぼえましたが、こちらもまーほんとに。出会えてよかった。すばらしい漫画です、皆さまもぜひご一読あれ。