2025年 美術のまとめ

最初のお客様は、阿弥陀如来さまでした

こんにちは。
中国鍼灸院 院長、そして美術家の趙 輝です。

今日は、2025年という一年を振り返る中で、
私の美術人生にとって、とても大切な「始まりの出来事」を
きちんと文章として残しておきたいと思います。


それは、
仏像彫刻を始めるきっかけとなった——
阿弥陀如来さまとの、夢での出会いです。


私は、もともと「版画」が専門でした

まず、少しだけこれまでの美術の話をさせてください。

私は、これまでずっと
版画を専門として制作を続けてきました。


版画は、
足す芸術ではなく、削る芸術です。

線を増やすのではなく、
削ることで、形を浮かび上がらせる。


どこまで削り、
どこで“止めるか”。


一度削った線は、戻りません。


だからこそ、
呼吸・集中・決断が、そのまま作品に刻まれます。


中国での修行時代、
何度も「削りすぎた」経験をしました。


そのたびに学んだのは、
技術以上に
静けさの中で、対象と向き合う姿勢でした。


私はずっと、
木や紙と「対話する」ように作品を作ってきたのだと思います。



夢に現れた、最初のお客様



そんな私の前に、
ある夜、夢の中で
阿弥陀如来さまが現れました

ぼんやりした象徴的な夢ではありません。
とてもはっきりとした姿で、
まるで「初めてのお客様」のように
正面から立っておられました。

そして、日本語で、
とても明瞭に、こう言われました。

「この姿の彫刻をお願いします。」と頼まれたのです。

その時に驚いたのは、
仏様が依頼される時に、とても具体的に話されたことでした。

あまりに突然で、
私は思わず正直な気持ちを返しました。

「え……できないよ。」
と答えました。

「木の彫刻なんて、やったことない。」
すると、阿弥陀如来さまは、

やさしく、でも迷いのない声で言われました。

「大丈夫よ。できるよ。」
その一言が、
不思議と心の奥にすっと入ってきて、
私は続けてこう答えていました。

「……じゃあ、やってみます。」

素直に答えていました。

私は全くわからないので、
どのように進めたらいいのか質問していきました。
するととても不思議ですが落ち着いて答えてくれます。

「どんな木ですか?」と聞くと・・・

「どんな木彫ですか?」
すると阿弥陀如来さまは、
すっと、ある一点を指差しました。
「あの木です。」
その瞬間、
指差された木が、
私の目の前まで すーっと滑るように動いてきたのです。

とても具体的に教えてくれます。
長さは、およそ30センチ
太さは、3.5センチほど
木目の流れも、はっきりと見せてくれました。
これを使って私を(阿弥陀如来様)彫刻してもらいたいと頼まれるのでした。

「ここまで見せるなら、もう迷わないでしょう」
そんな意志を感じました。

私は夢の中で、はっきりと答えました。
「わかりました。」


目が覚めて、庭に出てみると

目が覚めてすぐ、
私は妻にこの夢の話をしました。
「阿弥陀如来さまが出てきて、
彫刻を頼まれて、
木のサイズや木目まで教えてくれた」と。
話しているうちに、
どうしても気になって、庭に出てみました。
すると——
本当に、その木がありました。







それは、
昔、自分で作った 本棚の足の部分でした。
長さ
太さ
木目の流れ
夢の中で見たものと、ほとんど同じ。

その瞬間、
「これは偶然ではない」と、
体の感覚で分かりました。


最初の彫刻の依頼主は、阿弥陀如来さま

こうして、
私の仏像彫刻の最初のお客様は、
人ではなく、阿弥陀如来さまでした。





彫刻の依頼
「できるよ」という後押し
材木の指定
ここまで丁寧に示されたなら、
あとはもう、やるしかありません。
版画で何度も木と向き合ってきた手が、
今度は、仏さまの姿を迎えることになりました。





版画から彫刻へ——すべてはつながっていた

振り返ると、
この出来事は、突然の転向ではなかったように思います。

  • 版画で培った「削る感覚」

  • 太極拳・気功で育ててきた「軸と呼吸」

  • 鍼灸で磨き続けている「気の流れを感じる力」

それらが、
一本の木の前で、
自然にひとつに重なったのです。

彫刻は、
形を作る作業ではなく、
自分の内側を静かに整える時間でした。








次のお客様は、どなたでしょうか

最初のお客様は、
阿弥陀如来さまでした。

では、次は——
どなたでしょうか。


それは、
観音さまかもしれません。


あるいは、
この文章を読んでくださっている
あなたの心の中の仏さまかもしれません。


「この姿を、形にしてください」
「この気持ちを、彫ってください」

そう頼まれたとき、
私はまた、
木の前に静かに座り、
呼吸を整え、
一刀ずつ削っていくのだと思います。



2025年。
美術の一年の始まりは、
阿弥陀如来さまという、最初のお客様からでした。

この先、
どんなご縁が訪れるのか。
その続きを、
またここに書いていきたいと思います。

ここまで読んでくださり、
ありがとうございました。

次のお客様は——
どなたでしょうか。