うしなわれていくものを
とりもどそうともがくのは
つらい
ほんとうに
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「だめになるのではないだろうか」
そんな風に思う癖がついてしまうようで
こわい
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衒わない
という生き方が
まだすこし
理解できていないのだろう
と、思う
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自己批判のどのあたりまでが正しいのだろう
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モチベーションを冷静に図れない
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さらりとついた嘘の味は
重たく 苦く 舌に残る
綿菓子のような曖昧さが
こわばった口角を上げて
凍えた笑顔を作っている
石化する白い舌を噛んで
なめし上げ やわらかく
やわらかく
まごつく後ろ足が
今にも崩れ落ちていきそうで
この姿勢のままぴくりとも
動くことはできない
何かに追い立てられる焦燥感と
身動きのとれない苛立ち
怒りは忘れ去られ
恐怖をおし殺す諦観
それなのに
嘘だけはさらりと
涼しくつける
舌をなめす歯が
石化に追いつかなくなるまでは
あともうすこし
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ここからどこかへ誰かが旋風のように煙を巻き上げて跡形もなくさらっていってはくれないだろうか
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そこに近付くにつれ
あなたが不自然な程饒舌になりはじめたことに気付かぬふりはできなかった
退行を繰り返してひたすら乳房をもとめる手はいつも生温い空を掴んでいる
羊水と胎盤から開放したかに見せかけて熟れ過ぎた果実が枝から落ちてぐしゃりと潰れるような自身の錯覚…
「アイデンティティとは」
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こだわりとは
いったいなんだったのだろう
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あなたを食べたいと感じるまでにはまだ時間がある
さながら欲望は人肉をこよなく愛するものたちの宴
狂ったようにその腕を指をとかぶりついて咀嚼する
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