私は日差しが嫌いだ。
あれはさんさんと大地に等しく降りそそいでは、辛辣にこの身にまとう肌を焼く。はるか遠くにある太陽という巨大な天体から与えられる当然の賛美は、まるで貶しめるように私の身体を苛むのだ。白い皮膚を焦がし、内の肉にわずらわしい熱をもたらし、はびこる血に憎たらしいほどの不快感を抱かせ、芯にある骨を燃やそうとひたすら照らしてくる。のみならず直視すれば眼すら焼かれかねない横暴な灼熱。ああ、散々だ。あんなものがこの世界にあるだなんて、今の私にはおぞましすぎる。あれが平然と頭上に浮かんでいるのを、至極当然であるとして活動する生命のすべてが、あるいはかつての私がただ恐ろしく理解しがたい。ぽっかりと開いた穴のようなあれは、今にも吊り下げられた照明のように落ちてくるような有様であるのに。辺り一体を心なく焼きつくし、生命の残らぬよう虐殺しようとする兵器のようでも、こちらのなすすべなく蹂躙し、この圧縮され凝固された熱の地獄を支配せんとする神かなにかのようですらあるのに。ああ、命あるものとは恐ろしい。無謀な命、きっとなにも知らず、なにもなさず死んでしまうのだろうに。哀れなことだ。
私は命あるもののように、あの大地を平常として歩くことは敵わなくなった。生きとし生きるものらを殺そうと目論む、あるいは盲目的に守護せんとする忌々しい日の光が、あろうことか私の存在を妨げるのだ。否定するのだ。生きていてはならぬと! おかげでなにからも追放されたような有様で、真っ暗な夜をさまようことの、測ることも厭うこの屈辱を浴び飲みこむことのままならなさよ!
指先すら霞む暗闇を、手探りに盲目に進み、なにに会うでもなにをするでもなく終わる、私の短く不毛な生の連続の惨めさ! 日の光に拒絶されることの、この残酷と無情に血すら滲む。惨め、ああ、惨めだ。そう己を慰め、卑屈に大地に泣いてみせる姿を、忌まわしい太陽は目もくれぬ。私の憎悪は身を焦がさんほど膨れ上がるばかりだ。
果たして私という生命の、一体なにが気に喰わなかったのか。何万何億と存在する似たもののうちの私だけ、どうしてこのように弾きだされ、苦しまなければならないのか。日差しは素知らぬ顔で照らすばかりで、この問いには答えてはくれない。元より言葉などというものを持たないものだが、腹立たしい。
巨鳥のように降臨する太陽よ。私は貴様が恨めしい。憎たらしい、腹立たしい、嫌いだ、引き裂いて粉々に砕いて、もうそんな輝きを持てぬようにしてやりたいほど、嫌いだ。あんな灼熱の支配は拷問だ。わずらわしく照らすばかりの行いも拷問だ。首を絞められるような苦しさの、眩いだけの光も拷問だ。まるで加護だというような、偽善にもならない守護の虐殺も拷問だ。すべてが拷問だ。なにもかもが拷問だ。生命を貶しめ、蔑ろにし、嘲る。地獄とはお前の総べるこの世そのものだ! あげくその場から飛びでた私には一瞥もない。惜しみなく逃れられぬ熱視線を数多にくれてやるくせをして、そこからいなくなったものを探すことはない。なんて傲慢な残酷さだ! こんな理不尽のまかり通る世界を、正しいという奴は気が狂っている!
憎らしい。憎らしい。ただひたすらに憎い!
あの太陽がもたらし与えるそのすべてが。あの殺戮の光に守られて存在する生命のすべてが。私をつまはじき、のうのうとあり続ける世界とかいうものが。私には、もうなにも残してもくれないそれらすべてが。
いっそ焼けぬ体であれば、と願う。焦げることのない皮膚があれば。燃えることのない肉を持っていれば。苦しみのない血を滾らせていたならば。熱されぬ骨であったならば。あんな、陰惨な夜に泣くこともなくなろうに。憎たらしい。憎たらしい。
私は、あの光が恋しい。
