習い事はピアノ、水泳をやらせてくれていた。

私がピアノを弾いたり、水泳をしたりする姿を見て
妹が興味を持ち、いっしょに習うことになった。

私がピアノで少しでもつまずいたり、
メトロノームとあわせることができなかったり、
水泳の進級テストで1発で合格できなかったりすると
その度に、ものすごい剣幕で怒鳴られた。

妹はミスをしても怒られず、のびのびと練習していた。
ただただ羨ましかった。だから妹がピアノでミスをしたとき、

『妹さっきミスしてたで』

そう母親に伝えると、
母親は使っていた包丁を持ったまま私に近付き、
胸ぐらをつかんで包丁を振り上げながらこう言った。

『お前が偉そうにすんな』

5歳にして、『ああこのまま死ぬんや』と本気で思った。 
母親に殺される、はじめて死への恐怖を知った瞬間だった。