親は老いる。
小学生の頃の夢は『私がされた事/気持ちを親に老後味わせる事』だった。
何度も何度も繰り返し、親を閉じ込める妄想をして
親と私の『今』に折り合いをつけた。

いつか絶対あの気持ちを
あの衝動をぶつけて『勝つ』為に


親が老いた。
親が丸くなった。

私に生きづらい呪いをかけた親が
次は『幸せになってね』と呪いをかけてくる

それは私が1番願っていた言葉であり、同時に聞きたくない言葉であった
なぜならば私にとって親は完全な『悪』であり
私の倒すべき対象で憎むべき対象だったから

ようやく闘える舞台に立とうとした矢先
敵は武器を下ろしリングから退き
優しくこちらに微笑んでいる

いや、立てよ
最後まで闘えよ
そんなの求めてないし
そもそも微笑む事ができるなら最初から笑えよ
何で今なんだよ

全部遅いよ


2020年
目の前には、もういい歳になった親がいる
シワの増えた身体の悪い親が。

『ぱんだちゃん幸せになるんだよ』
『ぱんだちゃんのしたい事をすればいいんだよ』

今更リングを降りた貴方に従うもんかと私は思うけれど
本当は本当はずっと幸せになりたかった
貴方に言われなくても、ずっと幸せになりたかった


ねぇ、言うのが遅いよ


私の行先と呪いが重なった今、
幸せになるのは癪だと感じる

たとえやりたい仕事に就けても教えてあげないし
結婚する事があろうともウエディングドレス姿を見せてあげないし
孫ができようとも会わせてあげない

でも本当は皆に祝福されたい。
誰よりも幸せなんですって笑顔を見せつけてやりたいのに


私の幸せは不幸せと常に隣り合わせで
どちらが正しいのか分からなくなる

行き先の見えないカンダタの糸を
夢中で昇ってるようだ