
先日、皇居を訪れたときのこと。
緑豊かな空間を歩きながら、心もゆったりと整っていくような気分でした。
その中で、ひときわ目を引いたのが——楠木正成(くすのきまさしげ)の銅像。
大きな馬にまたがり、静かに前を見つめるその姿に、ふと足を止めました。
とりあえず写真だけ撮って立ち去ろうとしたけれど、「この人、何をした人なんだろう?」と気になって検索。
するとそこには、想像以上の物語が広がっていました。
楠木正成は、鎌倉時代末期から南北朝時代にかけて活躍した忠義の武将。
後醍醐天皇に仕え、その信念と知略で数々の戦を戦い抜きました。
その中でも私が心を動かされたのが、彼の残したとされる言葉——
「非は理に勝たず、理は法に勝たず、法は権に勝たず、権は天に勝たず」
正しい理屈は、不正には屈しない。
道理は、法にかなう。
そして法もまた、政治的な権力に左右されるが、最終的にはすべてが「天」——自然、運命、あるいは正義に従うのだという考え方。
この言葉に、私はしばらく立ち尽くしてしまいました。
現代の私たちにも通じるメッセージが、静かに、しかし力強く突き刺さったんです。
銅像って、ただの記念物じゃない。
その背後には、時代を超えて心に届く思想が詰まっている。
「もっとちゃんと銅像、見て歩こうかな〜」
そう思った日。
歴史の中の“声なき声”に、耳を澄ませたくなりました。