濃厚接触者の隔離期間が終了した。

 

妻も僕も無事。

 

しかし、決してこの期間は平穏なものではなかった。

 

濃厚接触者となった時は、自分らがいずれ感染するであろうことは前から覚悟していたので、妻は別として、僕自身は特に焦らなかった。

 

が、しかし…

 

この隔離期間中にまったく想定外のとんでもない事が起きてしまった。

 

何が起きたのかというと…

 

なんと…

 

よりによって濃厚接触者認定を受けた翌日に、

 

妻の実家に陸自で勤務している義甥が来てしまったのだ…

 

緊急事態宣言が出されていて、

 

「不要不急の外出は避けるように」

 

「県をまたぐ移動は避けるように」

 

と、これだけ叫ばれているのに、

 

わざわざ感染者激増で医療崩壊まで起きているこの地域に、

 

しかも、濃厚接触者の家に来るという、にわかに信じがたい行動…

 

さらに悪い事には、なんと…

 

義母は彼を家に入れてしまったのだ…

 

濃厚接触者と同居する家族も皆、感染者である可能性は極めて高いのは、もはや誰もが知っていることだと思う。

 

特にデルタ株にいたっては、その感染力から家庭内感染は避けられない。

 

通常なら濃厚接触者とその同居者が自分達の今後の心配だけしていればよいのだが…

 

その濃厚接触者の家に義甥が来てしまい、

 

義母が家に彼を入れてしまうというまさかの展開に……

 

 

それだけじゃない。

 

あろうことか、義母は彼と一緒に食事をしてしまったのだ…


もし、妻が陽性の場合、義母は2回目のワクチン接種は済んでいるとはいえ、ブレイクスルー感染により、既に妻から感染している可能性が極めて高いというのに、なんと、義母は彼を家に入れてしまっただけでなく、彼と一緒に食事をしてしまった。

 

そして、彼はその後も何時間もその家で過ごした…

 

濃厚接触者の家だというのに、そんなことは気にもしないといった感じで…

 

普通なら保健所にすぐこのことを連絡して、職場にも電話し、しばらく職場に戻れない事を伝え、自身の感染予防と第三者へ感染させるリスクを回避するために、あちこちのホテルに電話して、自己隔離をするための部屋を探し求めるところだが…


そのような気配りは一切見せなかった。

 

職業問わず、感染による被害を最小限に食い止めるために最低限やるべきことだというのに…

 

これだけでも十分過ぎる程、絶対にやってはいけない事、許せない事のオンパレードなのだが、

 

残念ながら、それだけでは終わらなかった…

 

この後もまだ続きがある…

 

これは後で知った事なのだが、

 

彼は妻の実家を出た後、そのまま友達の家に泊まりに行ってしまったというのだ…

 

濃厚接触者の家に滞在した後に友達の家に泊まりに行くという…

 

あまりに信じがたい、

 

あまりに許しがたい、

 

あり得ない、

 

あってはならない事を聞いて、しばし呆然としてしまった…

 

(なんてことを…)

 

へなへなと全身の力が抜けて足元から崩れ落ちるような絶望感…

 

自分らがコロナに感染することよりも、第三者が巻き込まれる事の方がよっぽど恐ろしかった。

 

てっきり、濃厚接触者の家にいたわけだから、妻の実家を出た後、一定期間、自己隔離の為に、自衛隊の駐屯地には帰らず、友達や彼女とも接触せずに、ビジネスホテルにでも宿泊しているのかと思っていただけに…

 

正直、焦るどころの騒ぎではなく、生きた心地がしなかった。

 

このまま僕自身にコロナが感染して、死んで消えてしまいたい気分になった。

 

彼が泊まりに行った先の友達や家族、関係者の方々に本当に申し訳なかった…

 

自衛隊の職場の方々にも本当に申し訳なかった…

 

日々、医療崩壊した第一線で、心身ともに疲れ果てながらコロナと戦っている医療従事者の方々に申し訳ない思いでいっぱいだった…

 

結果は幸い陰性で、妻も僕もすぐに熱が引いたから良かったのだが、もし、これがその後、僕らの体調が急変して陽性反応が出たとしたらどうなっていたことか…

 

もし、彼の友達やその家族に感染させて、その誰かが命を落とすことになったら…

 

もし、自衛隊の宿舎に戻って、同僚やその家族に感染して誰かが命を落としたら…

 

想像しただけで恐ろしくなった。

 

そんなことになったら僕は生きていけない。

 

 

 

 

先日、引っ越し先を探している、駐車場付きの戸建てを探している、といった旨を記事に書いたが、

 

今後、再び、こういった事があるかもしれない…

 

第三者を巻き込むなんて事は絶対にあってはならない、

 

もう甥の行動によって余計な心配をしたくない、

 

今回のようなトラブルに巻き込まれたくない、

 

妻と平穏に暮らしたい…

 

そのためには早く僕らがどこかへ引っ越さなくては!

 

そう思い、今は物件探しに焦っている。

 

そして先日、一軒、ネット上で気になる物件を見つけたので、すぐさま不動産屋へ内見を予約したのだが、内見前に外観だけでも予め見ておこうと、車で見に行ったら、

 

(これが人間の住むところか…?)と思うぐらい酷いところで、家というより小屋か物置といった感じ。

 

ボロ屋敷なんてものではなく、朽ち果てた小屋といった感じ…

 

日が暮れかかっていたので更に不気味だった。

 

翌朝1番に不動産屋に電話して内見をキャンセルした。

 

 

 

 

 

とりあえず、妻が無事で本当に良かった。

 

そして、たまたま運良く陰性だったので、義甥の不注意から家族とは全く無関係の第三者を巻き込まずに済んだ。

 

が、まだまだ安心はできない。

 

妻は職業柄、今後も何度も濃厚接触者になるだろう。

 

そして、また今回のような事が起きるかもしれない。

 

妻は少なくとも今年度いっぱいは今の職場を辞められないので引っ越しは出来ない。

 

この問題を解決するには、義甥が昨年9月から続くこういった危険で無責任な行動をやめることなのだが、

 

これまでも彼の様々な問題行動に関して、彼に再三注意をしてきたが彼は行動を改めることは無かった。

 

最後の手段として、僕は彼の職場の上司にこれまでの事をメールで伝え、彼を指導して頂くよう頼んだ。

 

実際に彼は上司から注意は受けたようだが、残念ながら、それでも彼の問題行動は改善される事はなかった。

 

こうなってしまった以上、今回のような問題を未然に防ぐには、僕ら二人が引っ越しするしかない。

 

彼が来ない所へ。

 

妻は今年度が終わる来年3月末までは引っ越せないが…

(妻が引っ越すまでの間、再び今回のような事が起きるのではないかと凄く心配である)

 

いくら注意しても危険な行動をやめない義甥に対して、最終手段として僕が起こした行動、

 

すなわち、僕が彼の職場の上司にこれまでの問題行動を伝え、上司に彼に対する指導を頼んだことで、義甥本人や彼の両親だけでなく、義母の怒りまで買ってしまった。

 

昨年9月から、義甥は、いつ彼がコロナに感染して、義母にコロナを感染させてもおかしくない危険な行動をとり続けて来た。

 

感染したら重症化して命を落とす確率が極めて高い75歳の高齢の義母

 

その義母を守るために、この1年間、僕は必死だった。

 

義母や自衛隊の同僚やその家族、そして、不特定多数の無関係の人たちの命を守るために…

 

ところが、彼等の命を守るために、最終手段として僕が起こしたその行動が、義母の逆鱗に触れてしまった。


これまで義母の命を守ろうとしてきたのに、なぜその義母が怒る?と思う人もいるかもしれない。

 

簡単に言ってしまえば、

 

彼の行動が如何に悪い事であろうが、義母を含む誰かの命を奪うような危険な行為であろうが、義母にとっては関係ない。

 

孫がすることはすべて容認する。

 

僕の信念に基づく行動は、小学生など子供社会で言えば、「チクリ」だった。

 

それが義母には許せなかったのだと思う。

 

孫の敵は許さない。

 

それが義母の答えだった。

 

そのため、義母からは、妻と離婚するよう迫られたが、妻は離婚を選ばず、僕と一緒に暮らす選択をした。

 

どのみち、僕らは引っ越す運命にあったのだが、その時が予定よりも早く、そして突如やってきてしまった…

 

今もモヤモヤと不安が付きまとっている…

 

何故ならば、今回のように、下手すれば不特定多数の第三者を巻き込む大惨事となるような問題が起きかけただけに、

 

僕らが引っ越したところで、根本的な問題は何も解決されないからだ。

 

僕らが引っ越した後も、彼が第三者を巻き込むようなトラブルを巻き起こす危険性が十分あるから…

 

更にもう一つ

 

甥の件で義母の怒りを買ってしまい、追い出されるように突如、僕が実家に帰って来たことで、ただ事ではない何かが僕の身に降りかかったことを直感的に気付いた母が、僕を心配するあまり、混乱をきたし、認知症も悪化し、食事もほとんど摂らなくなり、今ではすっかり衰弱してしまった。

 

そんな母を置いて、遠く離れたところに引っ越したくないからだ。

 

出来る事なら、これまで通り、しょっちゅう母の様子を見に行きたい

 

何かあったら、いつでもすぐ駆けつけられるようにしたい

 

僕が出来た唯一の親孝行だったから

 

ところが、母がここまで弱ってしまったこのタイミングで遠くに引っ越したら、それすら困難になってしまう…

 

しんごさんが、お母様が病気でいよいよ危なくなってきた時、芸能界を辞めて広島に帰ろうと大将に相談した時のエピソードを思い出す。

 

その時、大将は「辞めちゃダメ!お母さんはおまえがテレビで元気に活躍している姿が見たいんだよ!」と、しんごさんを止めた。

 

じゃあ、今の僕は…

 

逆に母の元から遠く離れようとしている。

 

母が心配で仕方がないのに。

 

しんごさんと違い、僕の活躍を見せてあげることも出来ないのに…