「朝日地球環境フォーラム2011」(朝日新聞社主催)は16日、11の分科会が開かれ、東日本大震災後の環境問題への取り組みなどについて、内外の識者が意見を交わした。
「どうする『25%』/日本の温暖化政策」の分科会では、2年前のフォーラムで当時の鳩山由紀夫・民主党代表が表明した「2020年までに温室効果ガスを1990年比25%削減」との目標について、震災後も維持すべきかを議論した。
21世紀政策研究所の澤昭裕・研究主幹(元資源エネルギー庁資源・燃料部政策課長)は「実現には家庭の電力消費を約10年で半減しなければならず、ライフスタイルを変えざるを得なくなる」として、原発依存度を減らすなら目標見直しは避けられないと強調した。
一方、慶応大学の小林光教授(前環境事務次官)は「マイナス25%は科学の要請。日本の個別事情で否定するのは避けたい。環境にまじめに取り組む企業が勝つ仕組み作りなど、今からでもできることはある」などと反論した。
また、「森と生きもの、水の循環」の分科会では、豊かな森林資源を持ちながら、安価な輸入木材に頼る日本の現状が焦点に。漁場を守るため植林活動を続けている宮城県気仙沼市のカキ養殖業、畠山重篤さんは「津波で2カ月くらい海から生き物が消えたが、魚や鳥が戻ってきた。豊かな森林が回復を早めた」。住宅再建用の建材を地元の山林から調達するなど、林業の再生と復興を両立させるアイデアを提案した。
