ああもう、だから読みたくなかったのに・・・

一晩明けても、まだ余韻でうだうだしています。



ひとつだけ。

昨日読んだときは、巻末の掌編は蛇足だと思ったけど、今は違うかも。

何も得られなかった人生じゃなかった。

一人の女性の想いを捧げられていたんだって、字面で見れるのは、救いだったかも。

本編ではそこまではっきりと描かれていなかったから・・・



日蔭者にしたくないだけじゃなく、彼女なら立派に勘一を支えられると思ったのかもしれない。

相思相愛の二人の人生をかけて、友を活かす・・・



なんというか、百田氏は「不遇の天才」を描くのが本当にお上手だなと。

こんなの、誰もが涙を絞ってしまうと思う。

BOX!のときもそうだった。

途中まで、「才能は努力に勝てない」みたいな話と思わせておいて・・・

実はそんなレベルじゃない才能で、でも、不運で大成できない・・・

後半に怒涛のように明らかになる彦の無類の剣技にはゾクゾクしました。

じゃああの砂浜での、足場が悪いから云々ってなんだったのよ!御前試合で太刀筋見切られてたって分析はなんだったの!って怒りを覚える始末。

彦の小手先の剣よりも勘一の骨を断つような剣を持ち上げてたのはなんだったのか。

この最後のどんでん返しのためなんだろうな・・・

彦はそんなレベルじゃなかったのよね・・・

彼こそは本当の天才で、でもその才におごって自らの栄達を望むような人間じゃなかった。

もし勘一に出会わなければ、普通に養子に行ったかもしれないし、家を出て道場を起こすなりしたかもしれない。

勘一に出会えたことは、彦にとって幸せだったのか、不幸だったのか。

こればかりはわからないけれど・・・

でも、たぶん、一抹のほろ苦さとともに、やっぱり幸せをかみしめていたんじゃないかな。

眼下に広がる開拓地を眺めながら、彼がどんな思いでいたかと思うと、胸がいっぱいになる。



私も、稲穂の海には思い出があって・・・

中学だったか高校だったか(一貫校で環境が変わらなかったから時期は記憶があいまいなのね)

学校をさぼって(サボり魔だった。成績よければ何も言わない学校で)

どこかを歩いてたんだけど

秋だったのかな。

一面に広がる黄金の稲穂・・・

あれってなんなんだろう。

今も忘れられない。

夕日にきらめいて、本当にきれいだった。



百田氏が作中で勘一に言わせる

金がコメよりも高くなったら終わりだ、とかいうセリフも今頃になってきいてきた。

賢い人は、貨幣経済の恐ろしさに早くから気付いていたのかもしれない。

人間が発明したもので、一番恐ろしいのは、「貨幣」かもしれない。



農業がいくら素晴らしいと言っても、自分で従事しようとは思えない。

そこが問題なんだと思う。

もっと早くに、機械化、大型化を進めておくべきだったのに・・・

時や遅し。

人は何のために働くのか、という話を誰か男としたことがある。

男は「いい女とヤるためだよ」と言い放った。

そうかもしれない。

でも、昔は違ったのだ。

まずは、生きるために、働く。

そして年をとれば、妻子とともに、生きるために。

今もほとんどの人は、生活の糧を得るために働いている。

ただ、見合いで釣り合わされて自動的に妻子を得るのではなく、どんな低スペックでもえり好みするようになってしまったのが問題なのだと思う。

きっと昔も、美人と結婚したい男なんて掃いて捨てるほどいただろうが、それでも、一人で生きていけない以上は飯炊き女は必要で、だから妥協も容易だった。

今はブスと結婚するよりは一人で生きていくという選択をする人が多いのだろう。
おそらく低スペックほど。

(スペックという言葉は嫌いだけれど、社会の底辺の人間を言葉で規定するのは面倒なので、つい使ってしまう。逆に高スペックという使い方はあまりしない。なぜだらう)



人は何のために生きるのだろう。

自分のために生きるか、人のために生きるか、まずは2択なのかもしれない。

自分のためだけに生きる人生は、いつか空しく思える日がくるかもしれない。
というかすでにそういう日は自分の身には散々訪れているw

人のために生きて、かつ、それが報われることが望ましい。

たとえば、勘一に仕えたみねは、勘一にも大切にされ、彦にも守られて、たとえ結ばれなくともある意味幸せだったと思う。

私も、大義ある人を支えて、大切にされたいな・・・とか思わなくもない。

でも、それ以前に、まず一目ぼれをされないことにはw

あーあ、ここでもまた美人礼賛の罠にはまってしまったわー

なんかさー化粧してしゅっとしたワンピ着てるときと、すっぴんでテキトーな服着てるときの周囲の反応って絶対違うんだよね。

医学部にいるときはそうでもなかった。

皮一枚むけばみんな一緒だから、ってのを医学部ほど実感する学部はまあないからね。

外見で判断されない環境で青春を過ごせたことは今でもラッキーだなと思う。

あのままだったらこういう外観偏重の社会の矛盾やら醜さやらは味わうこともなかったんだろうな。

男が化粧しないなら女もしなくてもいいじゃんみたいな感じですっぴんでも許されたし、逆に皮膚科の魔女どもみたいに超厚塗りしていても、それはそれで個性という感じで容認された。

外観に関しては自由な世界だったと思う。

(もちろん、常にある程度はきれいめにしておく方が、学内結婚に有利なことは間違いないけど)

今や身分の保証なく社会の荒波にこぎ出て、特に女は化粧して当たり前、やせてて当たり前、流行りの服着てて当たり前、みたいな都会の消費社会にもまれていると、なんだかすべてがばかばかしくなる。

顔とか服とかスタイルとか、全部記号。
中身なんてどうでもいいんだよね。

わかるけどさ。

秘書の特集とか、読む気力なくすもん。

GOETHE (ゲーテ) 2014年 10月号 [雑誌]/幻冬舎

¥820
Amazon.co.jp

定期的に秘書を特集するゲーテ。

これ、前のボスがすごく好きでした。

秘書を一生持てないような男たちに夢を見させる特集、だったらまだいいんだけど。

実際に秘書がついているような人がこれを見て自分の秘書と比べたりすると百害あって一理なしなんだよね。

今回は深田恭子さんがミニスカートにどぎついメイクにぶわっさりのロングヘアでお色気秘書を熱演されていました。

うぜええええええ


確かに、一見誰にでもできる仕事ですよ。

だから、新卒とか第二新卒とかで、若くて自分好みの女を選びたい人が多いのもよーくわかるんですよ。

でもそれじゃ、秘書としてのキャリアを積んできた人たち、行き場所なくなっちゃうし。

結局外資に戻ることになっちゃうんだよね。

外資の外国人は家族の面倒みなきゃとか余計な仕事もあるけど、そんなの個人付秘書なら当たり前だと思ってる。
そんなことより問題なのは、上司が帰国するとポジションが浮いてしまうことなんだよね。
おばさん秘書が、次に着任した上司と合わなくて経理に飛ばされるとかよくみかける光景だったわー

ほんとかわいそう。

秘書もプロフェッショナル職として扱ってほしいよ。

何も全部の秘書に華やかな美貌は必要ないだろうに。

会社によってはそんなパーティーだの接待だのもほとんどなかったりするし。

しかしそういう会社に限って、経営者は外面ばっかり求めたりするw