別れる場合。
そこについてくるリスクは何か。
いやもう真っ先に思うのが、お金。
無い。全然無い。だって結婚すると思って仕事もとっくに辞めてたし、「一緒に暮らそう、仕事も止めていいよ、僕が面倒みるから!」なんて言った奴が意外とケチケチしてたから、私は貯金を切り崩していて自分のパーソナルなものを支えていた。
そして家。
こいつと一緒に暮らすわけにはいかない。家を出る。きっとしばらく世話してくれる友人はいっぱいいるだろう。
しかし。
問題がある。こいつと暮らす前に、私はファッション関係の仕事について、世界中のコレクションを飛び回っては買い物三昧、という今思えばそれはそれはバブリーなお仕事をしていたため、3LDKの豪華なマンションのうち、二番目に大きな部屋は、私のクローゼットになっていた。
ロックスターか何かかと思うようなドレスに靴、ジュエリーに鞄。まあ、軽く「財産」と呼べる。
そして、この豪華なマンションで使っている家具は、全て私が買いそろえたものなのよ、それもこの男と出会う前にね。
特注で作った家具もある。これはもう、子供のようにいとおしい。
これらの「家財道具」をぜーんぶまとめて私と一緒に引き取ってくれそうな友人も、またそのようなスペースも、あるわけがない。
しかし、それらをこの浮気野郎に残していくなんて、ありえない。
そう考えていると。。。
ああ、そうか、私、別れることを選択し始めているのね。
出会い系チャットの画面を彼の顔につきつけてから半日。
彼が花束を持って家に戻ってきて、また私に何か懇願しているようだけど、私の顔は泣き腫らしたせいで目が重たくて、そんなの見えやしないし。
というか、そもそも私、この人のこと本当に愛していなかったかもしれない。
冷め切った心を感じる。
よく分かんないけど、ここからとりあえず出ていきたい。
絶望で朦朧とする頭は、更に人生を難しくしそうなコースを選び始めていた。
