10月


久しぶりに、

カナタさんのお店に行くと、

 

「え?
背、伸びた?」

と驚かれた。

 


 

猫背がだいぶ良くなり、
背が伸びたように見えたらしい。

 

トレーニングジムに行くのが、
だんだんおっくうになり、
そのままにしているのも
お金がもったいなくて、
思いきって辞めてしまっていた。

 

正しいフォームで
トレーニングができていなかったため、
正しい位置に筋肉がつかず、

辞めた途端に、
かえって姿勢がよくなった、
ということだった。

 


 

姿勢チェックのあと、
整体をしながら、
最近あったことや、
感じたことを話していた。

 

「そういえば、
今まで鼻歌なんて歌わない人だったのに、
最近、歌を口ずさむようになったんです。

 

あ、今、私、歌ってるな、
って思ったんです」

 

そう話すと、

 

「俯瞰だね」

 

と言われた。

 


 

なるほど、と思った。

 

私は、
自分を外から見る位置に
立っている時間が、
まだ長いのかもしれない。

 

そんなふうに、
感じた。

 


 

帰り際、
お店の入り口のドアに
サンキャッチャーが飾ってあるのが気になった。

 

「私も、
サンキャッチャーを、
『たつ』(数珠の名前)を作ってくれた
レイカさんに作ってもらいたいんですよね」

 

そう言うと、

「前は作ってたんだけど、
今は忙しいみたいで、どうかな?」

と言っていた。

 


 

ふと、
私の『たつ』を見て、

「めっちゃピカピカしてますね!」

と驚かれた。

 

「私は、ひどく疲れると、
くすんじゃって使えなくなるんですよ」

とも言っていた。

 


 

私は『たつ』を、
体から離すのはお風呂のときだけ。

 

お風呂に入る前に、
さざれ石の入ったガラスの器を持ってきて、
きれいに拭いてから、
その中で休ませる。

ガラスの器は、美大の娘が作ってくれたものだ。

 

『たつ』が落ち着いて、
ゆっくり休めるように、
白い布をかけてあげる。

 

なんとなく、
それがいい気がして、
そうしているだけの、
自己流だけれど。

 


 

拭くときも、
最初はゴシゴシ拭いて、
「わあ、きれいになった!」
と思っていた。

 

でも、あるとき、
ふと
やさしく拭いてみよう、
と思った。

 

ゆっくり、
やさしく拭きながら、
「いつも、ありがとうね」
と言ってみた。

 

すると、
前よりも、
喜んでいるような感じがして、

 

それからは、
やさしく
「ありがとう」
と言いながら拭くようになった。

 


 

部屋が整い、
私も、
少しずつ整えられていく。

 

そんな感覚が、
確かにあった。

 

(つづく)